2009/4/30

不況の中で大学は

大学の新学期が始まってすぐに解雇の発表があり、私は職務内容と勤続年数の関係から職を譲ることなく、今の仕事を続けることができるようになりました。この時期、私は幸運だったとしか言いようがありません。

皮肉なことに、大学はこの春学期にここ数年で一番の在籍者数を記録し、40を超える講義が定員超過となっています。不況になると、学校に戻って資格をとったり勉強しなおす人が増える、というのは事実のようです。昼間も年配の学生を頻繁に見かけるようになった上に、高校卒業一年目の学生も増えました。親元から通うことで生活費を節約しながら、4年制に転入準備をする10代の人たちです。地元高校の進路指導者は来年度(今秋)コミュニティカレッジに進学を希望する生徒が、例年に比べて増えていると言っています。

ところが、不思議なことに、この不況時に来年度の奨学金の募集には応募数が募集数よりも少ないことがわかりました。奨学金は学生ローンとは異なり、一般や企業から募った資金なので、授与後も返金する必要はありません。そこで学生たち全員に「返金なしの奨学金!」とメールを出して応募を呼びかけたところです。

コミカレには利点がいくつもありますが、学生でもある私にとって一番有難いのは、少人数制の授業です。高校のクラスの半数くらいでしょうか。文系で30人、理系は実験があるので20人程度。大講堂でマイクを使う規模の大きい大学の講義に比べると、インストラクターと学生の距離がぐっと縮まります。必然的に、インストラクターはすぐに学生の名前を覚えてくれますし、学生も発言や質問の機会が多くなります。田舎の大学のせいか、私の息子と言っても可笑しくない年齢の学生たちは、素朴で親切。年齢と人種という少なくとも二つの条件を抱えている私としては、おそらく日本で大学に戻るよりもすんなり溶け込める環境です。

大学での勉強は、結果を誰かと競争するのではなく、自分がどれだけ頑張ったかで評価されます。どれだけやれるか頑張ってみようじゃないの!と、自分を奮い立たせることが大切だと実感しています。

アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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