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自分で生むお産を考えよう! 「産ませて」ではなく「産む」意識で育児も変わる

「産ませて」ではなく「産む」意識で育児も変わる

自分で生むお産を考えよう!

出産を前にすると、さまざまなことを不安に感じるもの。でも不安につぶされそうな気持ちで医師や助産師さんに産ませてもらうのではなく、自分から赤ちゃんを生む意志を持ったお産を考えましょう。産婦人科医の笠井靖代先生にお話しを伺いました。

笠井靖代先生
日本赤十字社医療センター第一産科部副部長。産婦人科専門医、臨床遺伝専門医。自ら高齢出産を経て、母乳育児にも取り組んだ経験から、妊婦さんや産後のママへの温かいまなざしには定評がある。1児の母。著書は『35 歳からのはじめての妊娠・出産』(ナツメ社)。

医師や助産師が管理する出産から妊婦さんを支援する出産へ

出産が近づいてくると、陣痛の始まりがわかるのか、陣痛や出産の痛みに耐えられるかと、心配になりますね。35歳以上の高齢出産も増えていますから、産道が固くて出産が大変ではないかと、さまざまな情報によって漠然とした不安を抱えてしまう方も少なくありません。


出産は誰にとっても初めての経験ですから、若い妊婦さんでも、年齢が高い妊婦さんでも、悩みや不安を抱いてしまうことは、当たり前のこと。でもいろいろな不安を強く持ったままお産に望むことは、受け身のお産になりやすいもの。陣痛の痛みに耐えかね、自然分娩できるのに「帝王切開して、産ませて!」と叫んでしまう妊婦さんもいるほどです。

 

出産というと今までは、「ヒッヒッフー」と看護師もご主人も妊婦さん本人も声を合わせて呼吸を行い、出産の時には「はい、いきみますよ!」という産婦人科医のかけ声に合わせ、妊婦さんがいきんで赤ちゃん誕生……というのが主流でした。でも、最近では、医師や看護師が妊婦さんの出産を管理して産ませるのではなく、「妊婦さんが自ら産むことを支援する」という考え方に変わりつつあります。産む姿勢や、呼吸、いきみも、妊婦さん自身の好みやタイミングに任せる産院が増えています。

 

「産ませてもらう」のではなく「産む」ためには、リラックスして、妊婦さんが主体的になることが大切。そのためには、母親学級などで妊娠経過や出産について学んだり、自分の健康管理に関心を持つことです。また、可能なら分娩室を事前に見せてもらうなど、不安を解消しておくことが大切です。

バースプランや、産後のバースレビューを活用して

自分の不安や疑問を紙に書き出すのは、とてもいいことです。書き出すことでもやもやとした気持ちが整理できます。健診の時には、医師や助産師が答えやすいように、聞きたいポイントを短く書き出して提示するのがおすすめ。質問が多ければ、別途時間をとってもらうなどの対応をしてくれることもあります。
 
産院ではお産に対する希望などを書き出す「バースプラン」や、出産を振り返る「バースレビュー」などの用紙を用意しているところもあります。用紙がない場合には自分で書き出して相談しましょう。

 

 

不安を抱えたままでは主体的なお産が難しくなります。また、自分の産み方に対してモヤモヤした感情を抱えたままでは生まれてきた赤ちゃんに笑顔で向き合えないこともあります。どんなに優れた産科医であっても、出産を代わることはできません。不安はきちんと解消し、自分で生み、育てるという意識を持ちましょう。

バースプラン 臨月に入る頃に、書き出しましょう。

 

出産に関する心配事をどのように解消してきましたか?
どのようなお産をしたいと思いますか。また、もうすぐ生まれてくる
 赤ちゃんへのメッセージはありますか?
赤ちゃんとの生活に向けて、どのような準備をしていますか?
お産後の退院から1カ月健診までの期間を、どこで過ごす予定
 ですか?おもなサポーターはどなたの予定ですか?
医師・助産師に確認しておきたいことがあれば、お書きください

バースレビュー 産後3日ごろまでに振り返ってみましょう。

 

出産の経過を通じて考えていたこと、感じたこと、残念だった
  ことなど、印象に残っていることを自由にお書きください。
出産時のことで医師・助産師に確認したいことがあれば、
  率直にお書きください。

 

※日赤医療センターで使用しているシートを元に作成。

イラスト/犬塚円香  取材・文/高祖常子

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