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子どもの発達障がいってどういうこと?

うちの子、他の子と違うのかも?

子どもの発達障がいってどういうこと?

「どうしてこれができないの?」「言葉が遅いのでは?」と子どもの育ちに不安を感じてしまうお母さんは少なくありません。「もしかして発達障がいなのでは?」と悩み、子育てが辛くなるケースも。小児科医の秋山千枝子先生に、「発達障がい」と子どもへの対応について伺いました。

秋山千枝子先生
あきやま子どもクリニック(東京都三鷹市)院長。院内の「子ども相談室」で、子どもの心身に関するさまざまな相談に応じるほか、「病児保育室」で病気回復期の乳幼児の一時預り事業を行い、子育て中のママを支援。日本小児科医会理事、東京児童福祉審議会委員ほか。

発達障がいは生まれながらの特性

発達障がいは、生まれつき脳の機能に何らかの問題があることが原因で、発達段階において、運動、コミュニケーション、言葉などに偏りが出てくるというもの。病気と言うよりも、生まれながらの“特性”と言えるでしょう。
 
自閉症スペクトラム、注意欠如・多動性障がい、学習障がいなど、タイプ別に分類され、一人で複数のタイプの特性を持っていたり、同じタイプでも現れ方が異なるなど、個人差が大きいのが発達障がいの特徴です。
 
本来、子どもの成長には個人差があるもの。また、成長過程でその子らしさや個性がさらに際だってきますから、「他の子どもと違う」と感じることがあって当然です。でも見方によっては、「個性的」「個性が強い」と考えることもできるでしょう。

 

例えば、いろいろなことに興味がある子どもは、一カ所にじっとしているのが苦手で、常に動き回っていたいもの。そのことだけを見て、「この子は多動性障がい」などと単純には言えません。つまり、 発達障がい児なのか、そうでないかは、他の症状と総合して考え見極めるからです。

子どもの発達障がいの主なタイプ

いくつかのタイプがある中、子どもの発達障がいとして、多く見られる3つを紹介します。いずれの発達障がいも、子どもの状態を正しく理解して、適切なサポートをしていけば、できることが増えて自信を持たせることができます。

注意欠如・多動性障がい(ADHD)

 

特徴 年齢に見合わず落ち着きがなく、動き回ったり衝動的な行動に出たり、注意が足りず失敗することが多い。幼児期は友達とのケンカ、ものを壊す、順番が守れないなどの行動が目立ち、学童期になると、先生の話を聞けない、授業中に歩いてしまうといった行動が現われる。女子より男子の方が数倍多い。

 

対応 確実にできる単純な課題を与え、できたらほめるをくり返す。自己評価を高めることが大切。

自閉症スペクトラム障がい

 

特徴 コミュニケーションが図れず対人関係が結べない、言葉の遅れ、特定の興味や行動にこだわりが強い、自分の思い通りにならないとパニックになる、人との共感がないなど、特徴的な様子が現われます。4:1の割合で男子に多い。

 

対応 身の周りの行動がスムーズにできるような工夫として、同じ場所で同じ行動をするように設定したり、絵や写真を見せて次の行動を指示すると効果的。

 

 

学習障がい(LD)

 

特徴 IQ70以上と知的発達には遅れがないのに、読む、書く、計算することができない状態。他のことが普通にできるので、本人は努力しているのに、怠けていると誤解されがち。不登校につながりやすいため、早く気づいてあげることが大切。男子の方が多い。

 

対応 語彙数を増やすうえで、毎日の本の読み聞かせが効果的。

 

さまざまな力をつけることでハンディではなくなる

発達障がいは、ある分野の発達が一般的なペースとは違う、ということです。子どもによって、運動機能の育ちがゆっくりの場合もあれば、数字にはとても強いなど、能力がずば抜けている場合もあります。それぞれの違いこそが、生まれつきの特性です。

育っていく過程で上手に子どもをサポートしながら、身の周りのことができるようにしつけたり、さまざまな力を高めてあげると、持って生まれた特性が、生きにくさやハンディキャップになりにくいものです。遊びや学びという日々の体験を重ねることが、うまくできないこと、苦手なことへの改善につながります。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

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