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上の子も下の子ものびのび!きょうだいの育て方

上の子も下の子ものびのび!

きょうだいの育て方

きょうだいがいるのはうれしいけれど、小さいうちは、ケンカや争いごとがたえないのも事実です。「上の子を叱り過ぎてしまう」「でも下の子は言うことがまだわからない年齢……」など、困っているママも少なくありません。臨床心理士の植松紀子先生にお話を伺いました。

植松紀子先生
日本大学心理学科卒業。臨床心理士。「こどもの城」小児保健部を経て「植松メンタルヘルス・ルーム」を主宰。自治体の乳幼児健診にも携わる。『6歳までの子どものほめ方叱り方』(すばる舎)をはじめ著書多数。2児の母。

子どもの性格には、きょうだい関係が影響

「きょうだい」とひと言でいっても、ふたりきょうだいや三人以上のきょうだい、年齢差も、年子、2~3歳差などいろいろです。
 
アドラー心理学では、「子どもの性格はお母さんとの関係ではなく、きょうだい関係が大きく影響する」と言われています。いわゆる「上の子」は、親にとっては初めての子で、あれこれ試みながら育てられているせいか、慎重だったり少し神経質だったり、人の顔色を伺うようなところがあるといわれています。これに対し、「下の子」は、「上の子」というモデルが近くにいるために、上の子が親に叱られていたら「あんな事はしないようにしよう」など状況を察知するため、要領がよく、甘え上手な傾向があるといわれています。

3人きょうだいの真ん中の子は、お母さんが真ん中の子に対してどのくらい関わるかで違ってくると考えられています。

「一番上の子は大事」「一番下の子はかわいい」と言う中で、自由に身動きできた真ん中の子は、大きくなってから両親が思いも寄らない仕事についたり、両親とは全く違う人生を歩んだりすることもあるようです。
 
きょうだいがいないひとりっ子は、ひとり遊びは上手だけれど、野球やサッカーなどのチームプレーが苦手な傾向があるとも言われています。
 
これらはあくまでも“傾向”であり、すべての子どもにそのまま当てはまるわけではありませんが、きょうだい関係と子どもの性格には、深い関わりがあると言えるでしょう。

下の子への意地悪はお母さんの愛情欲しさから

乳幼児のきょうだいを育てているお母さんからの悩みで多く聞かれるのが、「上の子が下の子を叩いたりつねったりして、意地悪する」というもの。上の子が下の子に意地悪をするのは、「下の子が憎いから」というわけではありません。下の子が産まれたばかりだったりして、お母さんは下の子の対応にてんてこまい。上の子に時間をかけられなくなりがちです。しかも上の子がイヤイヤ期の真っ最中だったりすると、お母さんも心のゆとりがなく、「いい加減にしなさい!」と怒ってばかりということもあるでしょう。
 
でも、上の子だって、お母さんにかまって欲しいし話を聞いて欲しいんです。「下の子ばかりかわいがらないで、ぼく(私)を見てよ」という気持ちが、下の子を叩いたりつねったりする行動として表れるのでしょう。

下の子に手を出してしまった上の子を頭ごなしに叱りつけたり、「そんなことするなら、あっち行ってなさい」と突き放すと、お母さんが見ていないところで下の子をいじめることもあります。「つねったら赤ちゃん痛いから、だめだよ」と言い聞かせ、赤ちゃんをなでたり、お世話の手伝いしてくれたりなどいい行動をしたときや当たり前の行動をとった時に注目し、「お母さんはうれしい」など言葉をかけてあげましょう。
 
上の子が園に行っている間は、下の子とゆっくり過ごし、上の子が園から帰ってきたら「お帰り~」と抱きしめたり、10分でも15分でも上の子優先の時間をつくって好きな遊びを一緒に楽しみましょう。お母さんが自分を優先して向き合ってくれる時間があると、上の子の気持ちも落ち着いてくるでしょう。

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ

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