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夫婦で話し合おう、遠慮なく周りに頼ろう 「ワンオペ育児」にさようなら

夫婦で話し合おう、遠慮なく周りに頼ろう

「ワンオペ育児」にさようなら

「ワンオペ育児」という言葉を聞いたり、共感したママも多いはず。ママ(パパ)が一人で育児家事を回す「ワンオペ育児」。背景と現状、そして「ワンオペ育児」から抜け出す方法について、ワンオペ育児についてのコラムを多数書かれている明治大学商学部教授の藤田結子先生に伺いました。

藤田結子先生
明治大学商学部教授。慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業、ロンドン大学で博士号取得。専門は社会学、メディア・文化研究など。人々の生活の中に入り、その暮らしぶりを体験しながら観察や調査を行うエスノグラフィーの手法でさまざまな研究を行う。1児の母

 

男性の労働時間の増加により妻が家事や育児を担うことに

「ワンオペ育児」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。語源は、チェーン店などで、従業員ひとりがすべての業務をきりもりすることで問題になった「ワンオペ(ワンオペレーション=ひとり作業)」。これが、ママたちの家庭内労働=家事、育児と通じることから、ネット上を中心に広がりました。
 
多くのママが、この言葉に共感しました。その理由のひとつに考えられるのは、男性の労働時間の増加です。「日本人の働き方と労働時間に関する現状」の調査によると、平日に10時間以上働く男性の割合は、1981年の20%から、2011年には44%と増えています。労働時間の増加で帰宅時間が遅くなり、夫は家事や育児と向き合う時間がほとんど取れないと言う現状があります。
 
その結果、ママが“ワンオペ”で家事や育児の大半を担う家庭が増えているのです。夫の単身赴任によって、否応なしに「ワンオペ育児」にならざるを得ないというケースも聞かれます

 

地域とのつながりが弱く、ママが孤独や不安に

もう1つの理由は、女性の晩婚化、晩産化です。学校を卒業し、社会に出てある程度のキャリアを積んでから出産する女性は、地域やママ同士のつながりが希薄な状態からの“母親スタート”となることが少なくありません。ひと昔前は、祖父母はもちろん、近所の人が乳幼児を抱えている親をサポートしてくれるコミュニティがありました。それが今では核家族化が大半を占め、地域社会とのつながりが薄れているため、ママが孤独感を感じやすくなってきています。
 
共働き家庭も増え、自身の仕事をこなしながら家事や育児のほとんどを引き受けるママ。専業主婦で夫の帰宅時間が遅く、近所に知り合いも少ないため、相談相手もなく不安が大きくなるママ。共働きなのに夫の帰りが遅く、戦力や相談相手にならない、さらに夫が単身赴任……。ワンオペ育児にならざるを得ないママ、シングルマザー……。
 
さまざまなママたちが、それぞれの立場で「ワンオペ育児」になっている。これが「ワンオペ育児、私のことだ」という広まりになっているのでしょう。

6歳未満の子どもを持つ夫・妻の週全体の家事関連時間の変化 1996年~2011年

夫の家事関連時間は15年で週あたり約30分増えていますが、妻との差は顕著です。※ 内閣府/「仕事と生活の調和レポート」2013より

 

専業主婦世帯と共働き世帯の数の変化

専業主婦世帯は減少、共働き夫婦は増加傾向にあり、その差が広まりつつあります。※ 労働省「厚生労働白書」、内閣府「男女共同参画白書」(2014 年度版)、総務省「労働力調査」(2002 年以降)より

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ

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