2005/1/13

Q:読み聞かせで悩んでます

◆投稿者:女性

読み聞かせがよいと聞いていたのですが、うちの子は読んでいてもすぐ走り回ったり、別の部屋へ行ったり、勝手にページをめくったり、本を取りあげて放り投げたりで、とても読める状態ではありませんでした。

なのでずっと諦めていたのですが、最近「読み聞かせをしない子どもは想像力がつかず、想像力がないとお勉強でも質問の意味が理解できない子になってしまう」と聞き、あらためて読み聞かせを始めることにしました。

さすが4歳ともなると小さい頃とは違い、横に座ってはいるのですが、始めて2週間ほどになりますが、少しも聞いていないのです。

毎日3話と決めているのですが、そればかりに気がいって、読んでいる間も「3つ読んで」ばかり言い、下の子(2歳前)が本を「あっ、あっ」と指差したりすると怒ったり、かと思うとマネをして自分も同じことをしたり、まったく集中しないのです。「読み聞かせ」という行為は嬉しいらしく、楽しみにしているのですが。

読み終わった後、「どんなお話だった?」と訊いてもほとんど的外れ。昨晩は『聞き耳ずきん』を読んで「どんな、お話だった?」と訊いたら、「カラスがお洋服を着てどっか行った」と……カラスしか合っていません。で、もう一度読んで尋ねても「……」。もう一度読んでまた尋ねると、「カラスがお洋服着てどっか行った」と最初と同じことを言います。同じお話を3回も読んで、読み終わったら質問されるのが分かっているのに、少しも理解できていないことにガッカリしてしまいました。

いったい何がいけないんでしょうか? 本が合ってないのか、読み聞かせに慣れていないからなのか……悩んでいます。



A:本を選べる子は、人生を選べる子

◆安藤哲也(あんどう てつや)先生
安藤先生 出版社勤務、書店員等を経験し、現在はNPO法人 ファザーリング・ジャパン代表。
著書は『本屋はサイコー!』(新潮OH!文庫)など。
仲間3人で「パパ’s絵本プロジェクト」を立ち上げ、「えほんおはなし会」をしたり、サイトでおすすめ絵本や日記を公開するなど幅広く活動中。2児の父。

本は、もちろん読まないよりは読んだほうがいいと思うけれど、「(情操教育のために)読んであげなくちゃいけない」というふうに考えなくていいのではないかと思います。

僕にとってもわが家の家族にとっても、(絵)本というのは、生活リズムの中のひとつ。ご飯を食べる、お風呂に入る……と同じように、絵本は「読みたくなると読む」もの。だから、わが家の食卓には、読みたいときにサッと読めるように、絵本や本が積んであります。僕が本を読んでいると、子どももその姿を見て絵本を読み出したりします。もちろん読んだ後に、話のあらすじを確認することもありません。

読み聞かせについては、子どものその日の気分によって、読んでほしい本があると思います。保育園で友だちとケンカした日は、お母さんにやさしい本を読んでほしいとか、天気が悪くて外に出られなかった日には、遊び感覚の絵本を読んでもらって発散したいとか。

学校などの推薦図書もありますが、いつでも、どの子に対しても、その本がピッタリくるとは限らない。「4歳児におすすめの絵本は?」と聞かれることがありますが、4歳児の子すべてにおすすめの本なんて、ありえないでしょう。

絵本を選ぶところからが、コミュニケーション。親が読み聞かせる場合は、「今日はこんな気分かな」と子どもの様子や気持ちを考えて選んではどうでしょう。そして、子どもが本を選ぶときは、どんな本を読みたいのか、自分の気持ちに向きあいながら、選んでいるのだと思います。自分で本を選べる子は、自分の人生を選べる人になると思う。推薦図書じゃなくても、自分がおもしろいって言える本を見つけられればいいんじゃないかな。


       

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