2005/8/11

Q:真っ黒のお絵かき

◆投稿者:女性(4歳11カ月/2歳)

上の子が、幼稚園でいろいろ作品を作って持ち帰るようになりました。

私が仕事をしていて(今月末で辞めますが)突き放してしまったことも反省していた最中、今日持って帰ってきたお面(本人いわく)の顔が何もわからないほど真っ黒に塗りつぶしてあるんです。私としては現実を突きつけられた気がして呆然としてしまいました。よく心理的なものは絵を描かせるとわかるといわれますが、まさにこのことかと…。

もっと甘えさせてあげればと反省し、仕事を辞めることにしたのですが(両立されている方も大勢おられるでしょうが、私にはできませんでした)、まだ間に合うんでしょうか?懺悔で書き込みました。みなさんのご意見いただけるとうれしいです。


A:黒色を使って、心を癒す
◆渡部 英夫(わたべ ひでお) 先生
渡辺先生   日本児童画研究会神奈川支部長。
親子対象の絵画教室「親子のびのび教室」やおとなを対象とした「おとなのためのお絵かき教室」で絵画の指導や診断を行うほか、新聞・雑誌などにも執筆。
著書は『絵を見れば子供の「心」が手に取るようにわかる』 (コスモトゥーワン)ほか。
2児の父。

私が行っている浅利式絵画診断によると、黒という色は“母の胎内”がキーワー
ド。暗闇に戻りたいというメッセージを感じます。それはお母さんからの分離が怖いという心の表れなのかも知れませんし、新しいステージに上がるときの緊張感(幼稚園など、新しい環境が始まった時や、進級・進学などへの緊張感)からのものかも知れません。黒は、自分の不安や緊張を癒す色であり、自分自身を保とうとする時に自己防衛的に使われる色だと言われています。

投稿者さんのケースは、もちろん、お母さんが思っているように、自分のことをあ
まりかまってもらえない寂しさからということも考えられます。しかし、幼稚園で先
生がどのようなお面を描かせたのかということも重要です。動物のお面、人の顔のお面……、いろいろなお面がありますが、自分が好きなお面だったら、黒で塗らなかったかも知れませんし、お子さんがお面自体を描きたくなかったということも考えられます。

色の意味は一面的に判断すべきものではありません。心理的な面、生理的な面、身体的な面のどれかから表現されているのかもしれませんし、いくつかの要素が重なっている場合もあります。ひとつの事柄を原因として思い込むことなく、心と身体の情報としてキャッチすることが重要。何に対して、子どもが黒を使って自分を癒そうとしているのか、その方向を知って、おうちの方が子どもの気持ちの側に立ってあげてほしいと思います。

自由に絵を描かせることは、とても大切なこと。子どもは絵を描くことによって、
自分の心を治癒する力を持っています。

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