2005/12/15

Q:害虫は殺していいの?

◆投稿者:女性(男の子・4歳7カ月/男の子 2歳7カ月)

長男とお風呂に入ろうと思ったら、洗い場にアリが大発生していて、私は慌ててシャワーでアリを流してしまいました。それを見ていた長男に「アリさん死んじゃうよ」と叱られました。私は「ニモだって排水口からお外に出たでしょ」とその場をおさめてしまったのですが……。

子どもたちには常日頃、生きているものは殺してはいけないと(理由も含め)話をしています。自然に咲いている花(例えばタンポポ)なんかも採ってはいけないと言っています。まだ幼いということもあり、理由については、簡単に言えば与えられた役割があるみたいなことを言っているのですが、ハエや蚊はどうなのでしょう。

主人とその後、このことについて話をすると、主人は「“虫ばい菌(害虫の意味を説明した上で)だから”っていうことでいいんじゃないのか」と言うんですが。今回のように同じ虫でも「外にいる虫はダメで、家の中にいる虫はいいのか」ってところでお互いわからなくなってしまいました。

みなさんはどう説明されていますか? 参考までにお聞かせください。




A:子どもにとっては、虫も仲間

◆頭金 多絵先生(とうきん たえ) 先生
頭金先生   「ぬくぬくだっこらんど」主宰。白梅学園短期大学保育科非常勤講師。東京都墨田区内の保育園に26年勤めた保育士。つながりあそび・うた研究所スタッフとして、同研究所の機関誌『手と手と手と』に実践記録を連載。保育雑誌の執筆や研修会の講師も。2児の母。

私は保育園に26年間勤めましたが、保育園の中では、子どもたちが自然に解決していくことがたくさんあります。虫に対する姿もそのひとつ。いろいろなシーンに出会います。

真夏のある日、園庭のアスファルトの上で、ミミズがからからになって死んでいたのを見つけました。私が「ひからびちゃったんだね」と声をかけると、「かわいそう」と言っていたその子は、しばらくして「のど乾いたの」とそのミミズに水をかけてあげていました。カマキリを捕まえてきた、虫が大好きな男の子。触って遊んでいるうちにぐったりしてきた様子をみて、葉っぱを丸めてマクラを作り、葉っぱの布団をかけてあげていました。

子どもにとっては、小さな虫も同じ仲間。殺すつもりはなくても、死んでしまうこともたくさんあります。

トンボやチョウチョを実際に捕まえてみるから、ぐったりしてきて、すぐに死んでしまうということを感じることができます。虫と友だちで、虫とたくさん遊んで、たくさん死なせてしまった子ほど、捕まえて遊んだ後、逃がしてあげられるようになる気がします。虫を死なせてしまったり、摘んできた花を枯らしてしまったり、という経験を通して、「命をありがとう」という気持ちが身につくのだと思います。子どもたちには、「虫にも花にも命があるのだから、取ってはいけない」と、先に概念を教えるのではなく、たくさんの自然に触れさせてほしいと思います。

「害虫は殺してよいのか」ということも、親だから、と答えを出す必要はありません。わからないことは、子どもといっしょに考えていったらいいですね。

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