2006/12/14
Q:子どものケンカにどこまで介入する? 友だちのAさんから聞いた話です。保育園の帰り、何人かの親子で公園に寄ったとき、Aさんの子が一人の男の子に砂をかけられて、仲間はずれにされたそうなんです。それで、Aさんの子がいじわるする男の子のお母さんに言いつけに行ったら、そのお母さんは「〇〇君、そういうことは私に言いにこないで自分たちで解決して!」 と言ったそうなんです。Aさんもその場にいて、それを聞いて「えっ」と思ったようです。 そのお母さんは、以前は、「いじわるされた」と他の子から言われたら、自分の子のところまで行って注意していました。それなのに、今回はなぜそうしなかったかと言うと、「学校に通うようになると親は出て行けないから、子どもたちだけで解決させなければいけない」と思っているようなんです。それはそうかもしれないけど、今までそんなこと言ってなかったのにと、Aさんはそのお母さんに対する見方が変わってしまったようです。結果的にAさんの子は一人でポツンとした状態になってしまったのですが、他の友だちはといえば、一緒になって仲間はずれにした子や「そんなことしちゃいけない」とかばってくれた優しい子もいたようです。私も他人事ではないし、複雑な気持ちになりました。 ちなみに、そのお母さんはパートで保育士の仕事をしています。皆さんはそんな経験ありますか? A:子ども同士で問題を解決する力
幼児期は親が近くにいるので、子ども同士のいざこざに親が介入する機会がどうしても多くなるでしょう。親としては介入すべきかどうか迷う場合も多いでしょうが、私は基本的には、子どものもめごとにはおとなが介入しないほうがいいと考えています。もちろん、相手に噛みついたり、弱い子をいじめたり、仲間はずれにしたりというようなひどいことをしていないかどうかには、おとなが注意を払う必要はありますが。 幼稚園での子どものいざこざを3年間観察した心理学の研究をみますと、子どもだけでいざこざを巧みに解決していることがわかりました。おとなが間に入ることで、一方の子どもをひいきしているように感じさせたり、子ども同士の関係を複雑にして解決を遅らせたりすることもわかりました。おとなが介入しなければ、子ども同士がとことんぶつかって、これ以上はやらないほうがいいという“手加減”を学んだり、年長の子が割って入ってけんかをやめさせたり、また、年少児が年長の子の解決の仕方を見て学んだりしていることもわかりました。たとえば、3歳児の2人が遊具の取り合いをしてもめたとき、年中児が「じゃんけんしな」と割って入り、2人ともパーを出しているのに、「おまえの負けだ」と“解決”したことも報告されました。ルールがわかっていなくても、じゃんけんがもめごとを解決する手段だと、年長さんのやり方を見ていて学んだのでしょう。 おとなから見ると合理的な解決方法ではない場合もあるでしょうが、子どもの能力を信じてこのような経験を積ませていくことが、子どもの成長にとってとても大切なことだと思います。 |
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