2007/11/8

Q:“子どもより自分が大事”はいけないこと?

◆投稿者: 女性・32歳(子ども:女の子・5歳)

産後すぐに職場復帰し、フルタイムで働きながら育児しています。仕事はデザイン関係です。主人はとても協力的で、車で30分程度の場所に双方の両親もいて、どちらかというと恵まれた環境です。しかし、子どもがいると毎日が育児・家事で過ぎてしまって時間的な余裕がなく、スキルアップのための勉強や趣味の追求ができないのが不満です。睡眠時間を削ることもありますが、足りません。

子どもは可愛いです。でも、子どもを産んでからできなくなったことが多すぎて、子どもの存在がうっとうしいと思うことがあります。子どもと一緒に遊んだり、子どもの成長を喜んだりする母親としての気持ちはありますが、限られた時間の中で、子どもに費やす時間があまりにも多すぎて、自分のための時間を作るのが大変です。

子どもなんて産まなければよかったと何度も思いました。結局、子どもより自分が大事で可愛いんですね。私の場合、子どものいない人生のほうが、自分自身が納得して満足できるタイプなのかもしれません。

主人に子どもをお願いして、離婚して一人になりたいと思うこともあります。子どもがいない暮らしがしたいんです。どんなふうに気持ちを切り替えていいのかわからず、ここに書き込みしてみました。


A:子どもの人生を近くで見られる喜び

◆滝口 俊子(たきぐち としこ)先生
滝口先生 放送大学大学院臨床心理プログラム教授。日本臨床心理士会理事。からだ・こころ相談室主宰(臨床心理士)。著書に『子どもと生きる心理学』(法藏館)。共編に『事例に学ぶスクールカウンセリングの実際』(創元社)ほか多数。一男二女の母。

子育てをしていると自分の時間が取れなくなりますね。トイレもゆっくり入れなかったり、新聞やテレビも落ち着いて見られなかったり。第二子、第三子になると、お母さんも余裕が出てきてゆったりと子どもに向き合えるようですが、第一子の場合は特に子どもの存在に心理的にしばられてしまうことは少なくありません。

まずは、子どもから自由になる時間を作ること。投稿者さんの場合は、実家や夫に協力してもらえるようですから、手を借りてはいかがでしょう。もうひとつは、子育ては人生の中の限られた時間だと認識すること。幼い子どもと一緒に過ごしていると、この大変さがいつまで続くのかと途方に暮れることもありますが、小学生、中学生……と成長するに従って、どんどん親から離れてゆくものです。次に、子ども自身の育つ力を信じること。安全の保障がある程度できていれば、親が常に関わらなくてはと神経質にならなくても、子ども自身、自分で遊びや時間の過ごし方を見つけてゆきます。

そして、もうひとつ。母になったことで、自分とは別の人間を近くに見られることを楽しむ気持ちを持ってはいかがでしょう。「こんなことが好きなのか」とか「こういう時にこんなふうに考えるのか……」と。子どもに恵まれない人もいるのですから、子どもに出会えたことに感謝して、ちょっと考え方を変えてみませんか。

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(C)YOKO SASAKI

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