2007/10/11

マデラインちゃん

お向かいの5軒先にマデラインちゃん一家が住んでいます。
1歳半の弟と両親の4人家族。マデラインちゃんは我が家の次男と1歳違い、次男のお下がりを弟に譲っていること、両親共に私の夫と同じ職種であることなどから、会えば話が弾む仲です。また家族揃ってアウトドア派で、キャンプはもちろん普段から4人で近くを散歩している姿を見かけていました。ところが夏休みを終えた頃からぷっつり姿を見かけなくなりました。仕事のシフトが変わったのかも、と思っていた時、ある人からマデラインちゃんが大変な病気にかかっていると聞きました。

「小児ガン」マデラインちゃんは、9月上旬にここから2時間ほどの病院に入院していたのです。同じ年頃の子供を持つ親として、その話を聞いた時の衝撃は、それは大きなものでした。
彼女と家族が化学療法の合間に自宅に戻ってきたところで、本を持って訪ねました。小さく丸まって眠るマデラインちゃんを見て、胸がぎゅうっと締め付けられました。言葉をかけることはできませんでした。「健康優良児だった子がこんなことになるなんて、不公平としか言いようがない。でも来年の夏まで化学療法を続けて、手術にしたいから頑張るしかないの」。と母親は気丈に微笑みながら話してくれました。

人口1万人の小さな町です。何とかこの家族を応援、援助しようという運動が始まりました。「スパゲティフィード(Spaghetti Feed)」高校の練習試合の前に集まってくる生徒や保護者に安くスパゲティを振る舞い、利益はマデラインちゃん一家に寄付しようというもの。また税金の控除を受けられる寄付箱を設けるダウンタウンのお店も現れました。地元の新聞もこういった活動の記事を載せてくれるので、たくさんの人が知ることになります。

マデラインちゃんは外国で治療を受けるわけでもないのに、どうして大きな援助が必要になるのか。
それはアメリカの医療費がとてつもなく高額だからです。
例えば、日本ではおそらく高額医療免除や特定疾患などの対象となる病気でも、アメリカでは治療を受ける人の持っている保険により、大変な金銭的負担となるのです。

(つづく)



アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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