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2006/10/5 代理出産(代理母出産)
9月29日、東京高裁は、タレントの向井亜紀さん(41)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が、米国人女性に代理出産を依頼し生まれた双子の男児について、「夫妻の子であると確認される」として、区長に出生届を受理するよう命じる決定を下しました。
夫妻は向井亜紀さんのオフィシャルホームページなどで、その喜びと感謝の気持ちを表明しています。
ところで、にわかに脚光を浴びた「代理出産」ですが、どうして今回これほど話題になっているのでしょう。その理由は、夫妻が有名人だからと言うだけではありません。不妊に悩む多くの人にとって、不妊の解決策としてだけでなく“法的”にも実子として出生届を出して、受理される可能性が否定できなくなったからです。
不妊治療には、生活習慣の改善に始まり人工授精や体外受精などがありますが、今回の向井さんのように出産ができない人の選択肢に代理出産があります。向井さんの場合は、子宮ガンのために子宮を全摘出したために出産ができなくなりました。しかし、卵巣は無傷で卵子を取り出すことはできたので、体外受精して第三者に受精卵を預けて出産して貰ったのです。
卵子・精子とも夫妻のものですが、子供を産んだ女性を母親と(法解釈)する日本では、出生届が受理されなかったために、処分取り消しを求めて訴えを起こしていたのです。
(今の法解釈では、一旦分娩した女性の子として戸籍を取り、養子縁組で迎え入れるしかないため)
向井さんも、自身のblogで「高裁判決が出たところですから、まだ富士山の五合目にいる状態」と書いているとおり、今回の決定は最終ではないので、これをきっかけに今後様々な議論がなされるはずです。
国内では法整備などが追いついていないため今まで話題にならなかった代理母出産ですが、現実には既に海外で出産して帰国している方も多くいるようです。
これからの議論では、こんな事が話題となりそうです。
- そもそも、倫理上・医学上、代理母出産を認めるのか?法解釈上は、子を産んだ(分娩した)女性が母親。認めるとなったら法律の改正をする(あるいは法解釈を変える)か?
- 出産に関わる手続き・母子手帳や手当・保障制度は誰を母親として行うのか?
- 代理母が自分の子だと主張した場合の優先権は?
- 胎教が有効だとすれば、お腹の中にいる間に培われた母胎と子の繋がりは無視して良いのか?また、妊娠中の病気や、障害を持って生まれてきた場合どう対応するのか?
- 逆に、第三者から卵子や精子の提供を受けて出産するケース。その場合の母親・父親は誰となるのか(するのか)
など。
少子化対策をテーマとする安倍新政権にとっても、一つの問題提起となりそうです。
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