日々のニュースや話題の中で、子育てに関連するキーワードや子育て中の家族に関心が高そうなワード、知っていただきたい事柄などを編集部がピックアップ。できるだけ分かり易く、簡単な解説と共にご紹介いたします。 2006/11/9 赤ちゃんポスト−こうのとりのゆりかご
2006年11月9日、熊本の慈恵病院に「赤ちゃんポスト」(通称「こうのとりのゆりかご」)を設置する計画がある、と報道されました。実現すれば国内初というこの「赤ちゃんポスト」とは、出産したけれど事情があって育てられない新生児や、育てられなくなった乳幼児を受け入れる窓口のことで、ドイツでは既に実現しています。中絶防止や殺人を未然に防ぐ、あるいは子どもを捨てるという行為に走らなせないための受け皿となり、母子を守るというものです。誰にも知られず赤ちゃんを託すこの仕組みは、病院や施設の壁に、赤ちゃんが入る大きさの「ポスト」(中は保育器)を設置して、そこに赤ちゃんが入れられるとブザーなどでそれを知らせるというもの。
子どもを殺せば殺人罪、子どもを放置すれば保護責任者遺棄罪の罪に問われ、その結果死に至れば、保護責任者遺棄致死罪と、いずれにしても母子共に悲しい結末しか待っていません。そのような悲しい行為を未然に防ごうというものです。当然、ドイツでも賛否両論有ったようです。慈恵病院の計画についても、これから様々な議論がなされるでしょう。
これからの設置に向けての議論、さらには実現に至るのか、その結末を注意深く見届けたい所です。
ドイツの取り組みについては、NPO法人円ブリオ基金センターが「赤ちゃんポスト−ドイツと日本の取り組み」というビデオを制作し、全国のイベントやセミナーで上映されています。このビデオは、文部科学省が選定する、教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められる映像作品にも選定されています(平成18年3月22日)。
以下、文部科学省の選定一覧に掲載されている紹介文です。
「赤ちゃんポスト−ドイツと日本の取り組み」(25分 成人向)
望まない妊娠に直面したドイツと日本の若い女性の姿を通して、ドイツ社会の取り組み、日本の現状を紹介し、「いのちの尊さ」、「いのちの始まりの大切さ」を考えます。 (NPO法人円ブリオ基金センター)
<2007年4月6日追記>
2007年4月5日、熊本市は慈恵病院から出されていた設置許可申請を許可しました。4月中にも完成し、運用が開始される見込みです。
しかし、政府の見解とは温度差もあり、今後も議論が続きそうです。
<2007年5月10日追記>
赤ちゃんポストは、本日5月10日より運用が開始されました。
<2008年9月10日追記>
2008年9月8日に公表された情報では、
1.運用開始から2008年3月までに赤ちゃんポストに預けられた子どもの数は計17人(男の子13人、女の子4人)
2.未婚の母はおらず、4割は離婚して母子家庭
3.自宅などで一人で出産した例が3割
など、経済的な理由で赤ちゃんポストへ預けられるケースが多い。
報告書は知事から国に報告される。
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