たくさん心配したり、たくさん喜んだり
2014年10月、ミクと、妊娠37週未満で生まれた早産児の健康を応援するサイト「スモールベイビー.com」を運営するアッヴィ合同会社と共同で、「早産で生まれた赤ちゃんのママの座談会」を開催。6名のママが集まり、妊娠から出産までのことや育児の悩みなどについて語り合っていただきました。当事者同士だからこそお互いに共感できることも多く、たくさんの貴重なお話を聞くことができました。
今回座談会に集まってくれたのは、妊娠37週未満で生まれた赤ちゃんのママ6名。自己紹介のあと、妊娠から出産までのことや出産直後の気持ちを振り返ってもらいました。
「子宮頚管が短く『早産になりやすいからなるべく安静に』と先生から言われていたのですが、仕事も忙しかったし『私は大丈夫』と深く考えずにいたところ、36週で出産。『妊娠中の自分の行いが早産を招いたのかもしれない』と自分を責めました」(ようこさん)、「双子を妊娠し、切迫早産で24時間点滴の日々を3カ月過ごした後、32週で出産しました。体力の低下から出産時は母子ともに危険な状態で、集中治療室で赤ちゃんが無事に生まれたことを知りました。こんなに小さい赤ちゃん2人を育てられるのか、喜びよりも不安のほうが大きかったです」(ゆめさきママ)など、予想もしなかったできごとにとまどう気持ちや、自分を責めてしまう気持ちが聞かれました。
出産後も、「新生児用のおむつがぶかぶかで、小さく生まれた赤ちゃん専用のおむつを探して使っていました」(曽我さん)、「体が小さいせいでおっぱいを吸う力が弱いのに加え、これ以上体重を減らしてはいけないというプレッシャーもあり、授乳が大変でした」(あいさん)など、お世話の苦労が多いのに加え、「初対面の方に『赤ちゃんかわいいね~何カ月?』と聞かれるたびに、本当の月齢を伝えると怪訝な表情をされるから、修正月齢を伝えた方がいいかと悩んでしまいます」(ゆーくんママ)、「発達の遅れを気にしないようにしていても、回りの子と比べて気になってしまう時があります」(あいさん)など、悩みや不安もつきないようです。
こんなママ達にとって何よりも大切なのは、一人でかかえこまないこと。「市が開催する小さく生まれた赤ちゃん向けの会に、定期的に参加しています」(大塚さん)、「同じ時期にNICUにいたママ同士でLINEのグループを作り、情報交換しています」(曽我さん)「母乳外来に通って助産師さんに相談にのってもらっています」(ゆーくんママ)などの声も。それぞれの悩みや不安を「同じ立場の人」と気持ちを共有できたり、早産児の健康や育児についてのリアルな情報を知ることができるようなコミュニティを望む声が多く聞かれました。
会が進むにつれ、お互いの境遇を理解しあえるママ同士だからこそ次第に打ち解け、和やかな雰囲気に。「早産児のママは心配ごとも多いけど、見過ごしそうな子どもの小さな成長を一つずつ実感できる喜びがありますよね」(大塚さん)の言葉に大きくうなずくママ達。この会を通してできた新しいつながりを喜ぶ笑顔が印象的でした。
撮影/福田依子