仕上げみがきをしっかり! 楽しく!
「子どもの歯をむし歯から守ってあげたい」というのが、ママパパの思い。でも、乳幼児期の仕上げみがきに苦戦しているという話もよく聞きます。歯みがき習慣や、仕上げ磨きについて、小児歯科医の田中英一先生に伺いました。
監修 田中英一先生
田中歯科クリニック小児歯科(東京都中野区)院長。日本小児歯科学会副理事長、日本保育保健協議会理事、保育園や幼稚園の園医をつとめる。子どもの歯と心を考えることで定評がある。共著に『子どもの食の育て方』『にこたえるすこやかな口 元気な子ども』(医歯薬出版)ほか。
歯磨き粉は、少しだけつけましょう。
うがいも上手にできます。
「歯みがき上手ね」と声をかける真奈美ママ。
琴子ちゃんの歯は下2本がはえたところ。ベビー用の歯ブラシがお気に入り。
石橋美和子ちゃん(2歳)&琴子ちゃん(8カ月)&真奈美ママ&健パパ
おむつ替えもばっちりのパパ。パパが仕上げみがきすることもあります。みんなで楽しく歯みがきしています
「歯みがきをしてくれない」「仕上げみがきに一苦労」という話を、ママやパパからよく聞きます。まずは、親が毎日規則正しく歯みがきをしている様子を見せることはとても重要です。その姿を見ることで、子どもも「歯みがきしたい」と思うようになるでしょう。1日の中で、決まったタイミングで歯みがきすることは、朝起きたら歯みがきをする、夕食後に歯みがきをして眠るというように、生活リズムを形成することにもつながります。
歯みがきは歯が生えたときからスタートしてOKです。ただし、上下2本ずつ程度なら、ガーゼで拭いたり、離乳食後に白湯を飲ませるなどでもかまいません。ママやパパのタイミングで、歯みがきをスタートしましょう。
家庭内の事故で意外と多いのが、歯ブラシによるものです。歯ブラシ事故で救急搬送されるのは、1、2歳児が大半。歯ブラシを口にくわえて歩き回っているうちに転んだり、ソファーから転落するなどして、口の中に歯ブラシが刺さってしまう場合もあります。歯ブラシをくわえたまま、全身の体重が加われば、簡単に喉に刺さってしまい、ひどい場合には脳に達してしまう危険もあります。子どもが歯みがきをしているときには、目を離さないようにすること、歯ブラシをおもちゃやおしゃぶり代わりにしたり、持たせたまま立ち歩かせないようにすることも大切です。
仕上げみがきのコツ
仕上げみがきはまず、スキンシップから始めましょう。
●スキンシップ
ほっぺやくちびるをなでて、子どもをリラックスさせましょう。
●やさしくブラッシング
2本ずつ、歯ぐきに歯ブラシの毛先を当て、やさしく左右に10 回程度みがきます。
●ほっぺは内側に指を入れて
みがきにくいところは、ほっぺの内側から指を入れてふくらませてみがきましょう。横に引っ張るのは、痛いのでNGです。
「仕上げみがきを嫌がって困る」というママやパパが少なくありません。子どもを押さえつけて仕上げみがきしては、子どもも怖いでしょう。また親が強くみがきすぎて歯ぐきに痛みを感じれば、子どもは口を開けてくれなくなってしまいます。それでも無理矢理仕上げみがきしていたら、親子共に苦痛な時間になってしまいますよね。
仕上げみがきタイムは、親子のスキンシップの時間と捉えましょう。まずは安心してリラックスできるように子どもを膝に寝かせ、ほっぺやくちびるを優しくマッサージします。ママの笑顔も大切です。くちびるは敏感な部分。イヤだと思えば口を結んで開けてくれませんが、そっとなでて気持ちよくなると、口元もゆるんできます。優しく触られることで、口の緊張や過敏が取り除かれます。
歯は2本ずつ、ブラッシングします。強くみがくことなく、毛先が当たる程度で十分です。それぞれ10回程度歯ブラシを左右に動かして、ブラッシングしていきます。
子どもが自分で歯みがきすることは、どんな意味があるでしょうか。
歯みがきを習慣にすることで、むし歯や歯ぐきの病気を防ぐことになります。また、歯みがきによって、手や指を使った細かな動作を学んだり、歯ブラシを口の中に入れることで、手と口との協調性や体感感覚を学ぶことにもなります。
食べたらみがくというように、生活習慣を身につけることにもなります。鏡に映った自分の顔、目、口の位置を覚え、ボディーイメージを育むことにもつながります。
歯みがきできたら「歯みがきできたね。歯がピカピカになってよかったね」と褒めることも大切です。ほめられることによって、子どもの自己肯定感も育まれます。親子の歯みがきタイムを、楽しく習慣化していきましょう。
歯ブラシに鋭利な部分がないので、安心しがちですが、転倒して歯ブラシが刺さるなど、歯や口の外傷事故が多発しています。立ち歩き始める1歳くらいから、行動が活発になる3歳前後は要注意。
●歯みがき時以外は、歯ブラシを持たせない
歯ブラシを口に入れたまま歩き回るのは、絶対にやめましょう。
●本人みがきのときは、目を離さない
自分で歯ブラシを持ち始める1歳頃から就学前の子どもの本人みがき時には、目を離さないようにしましょう。
●歯ブラシは子どもの手の届かないところに
子どもが勝手に歯ブラシを持ち出さないように、子どもの手の届かないところに置きましょう。
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<乳幼児期のオーラルケア>
撮影/福田依子