体罰禁止を30年前に導入。育児支援のモデルにもなっているスウェーデン
スウェーデンの家庭に突撃取材!
「叩かない子育てって、どうやってしているんですか?」
■しつけの方法は夫婦や親子で考える
子どもが、親から言われたとおりにしないことは、もちろんあります。でも、繰り返し伝えることが大事だと思っています。たとえば時間通りに学校に行く準備ができない場合は、子どもができない理由や、できるようになるための方法を夫婦で考えたりします。
子どもと相談して、チェックシートを作る場合もあります。何かうまくできていないことがあれば、2~3週間、シートを作って取り組ませることもあります。このシートは、できなかったら罰則を与えるためにつけさせるのではなく、毎日できたら子どもにちょっとスペシャルなごほうび(いつもと違うおやつなど)をあげるポジティブなリストです。
■反抗期もママやパパの反応で乗り切る
「何でもイヤ」の反抗期は大変ですね。子どもも「どこまで許されるか」親をテストしているのでしょう。
行動の範囲を試している一番大事な時期。親が「NO」と言ったら、子どもはその行為をやめなくてはいけません。「NO」と言ってもやめない場合は、タイムアウトと言いますが「しばらくこの部屋にいなさい」などということになります。
低年齢の場合は、ママのひざから下ろして、床に座らせることもあります。ママのひざに座ってはいけないというのは、小さな子にとって厳しく感じることではないでしょうか。
NOの場合はきっぱりと伝える、毅然とした態度を示すということで、やっていけないことを教えています。
ラテママ、ラテパパ
~カフェは子連れのママやパパの情報交換の場
カフェには子連れで情報交換しているママやパパたちがいっぱい。「ラテママ」というそう。写真は育休中のパパ、グスタフ・デイノフさん(32歳)がアロルくん(1歳2カ月)を連れて、カフェで仕事の打ち合わせをしているところ。「ママが8カ月の育休を取ったあと、バトンタッチして今は自分が6カ月の育休中。今日はプロジェクトの打ち合わせ中」とこと。
1979年にスウェーデン国会が可決した子どもへの体罰禁止と屈辱的な取扱いの禁止を盛り込んだ「親子法改正案」
子どもは世話と、安全と、質のよいしつけを享受する権利を有する、子どもはその人格と個性を尊重されながら扱われなくてはならず、体罰にも、その他のいかなる屈辱的な取扱いにも、遭わされてはならない。
※「親子法改正案」の日本語訳はNPO法人子どもすこやかサポートネット監修。記事は、『子どもに対する暴力のない社会をめざして~体罰を廃止したスウェーデン30年のあゆみ』(冊子。セーブ・ザ・チルドレン・スウェーデン、スウェーデン社会保健省)、『世界に学ぼう子育て支援』(フレーベル館、編著/汐見稔幸)などを参考にしています。
取材・文/高祖常子