予防と対処で花粉シーズンを乗り切ろう!
花粉の飛散量が多い2011年、早くから辛い症状に悩まされているママやお子さんも少なくないのでは? 近年は子どもの花粉症が急増。症状が出ていなくても、正しい知識を持って対策することが大切です。乳幼児の症状や対処法について、小児科医の橋本伸子先生にお聞きしました。
橋本伸子先生
橋本こどもクリニック(東京都文京区)院長。長年にわたる小児科医としての臨床経験、子育て経験を活かし、地域の子どもの健やかな成長のために貢献。
http://www.hashimoto-kodomo-clinic.com/
体に侵入してきた原因物質の花粉に過剰に反応し、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、さまざまなアレルギー症状が現れる花粉症。
子どもの花粉症は年々低年齢化の傾向にあり、早い子どもでは0歳の春に花粉を浴び、翌年に発症するケースも見られます。
両親のどちらかに花粉症などのアレルギーがあると、遺伝的に体質を引き継いでその子どもも発症の可能性が高くなります。
浴びた花粉の量が多くなると、体の免疫機能の限界を超えて症状が現れやすくなるため、免疫力が弱い乳幼児期は、アレルギー体質でなくても注意が必要です。花粉との接触をできるだけ避けて、体内への進入を未然に防ぐことが一番の予防策。たとえ発症しても、症状を悪化させないことにつながります。
毎日の花粉飛散予測をチェックし、飛散量の多い日は窓を開けない、洗濯物を室内に干す、外出を控えるなど、家の中に花粉を持ち込まない対策を。とはいえ、子どもは元気に外遊びをすることが免疫力アップにつながるので、花粉の少ない時間帯に外出しましょう。
外出時はツルツルした素材の服を着用し、帰宅時は外で花粉を払ったり洗い流すなど、家族みんなで花粉を持ち込まない対策を徹底しましょう。
花粉症予防としては、体の免疫力を高めること、つまり花粉に負けない体にすることもポイントです。最近は衛生面に過剰に気を配る家庭が増えていますが、実はこれは逆効果。極端に清潔な環境では免疫力が強化されず、かえって刺激に過敏になって しまいます。花粉を除去する上で拭き掃除は有効ですが、除菌までする必要はありません。
アレルギーを心配して卵や乳製品などを与えないお母さんがいますが、いろいろなものを食べさせた方が免疫力はアップします。
また、病気を予防するワクチン接種をきちんと受けること、遊びを通して体を動かしたり規則正しい生活を送ることも、病気に強い体を作るうえで重要です。
子どもの花粉症の症状は、くしゃみや鼻水よりも鼻づまりが多く現れます。かゆみから目や鼻の周りをこするしぐさをしたり、口呼吸をしている様子が見られたら、花粉症を疑ってみましょう。また、鼻血が出やすい、夜寝ている間にいびきをかいたり咳が出るという場合も、花粉症の可能性があります。症状に気づいたら、早めにかかりつけの小児科、または子どもの症例に詳しい耳鼻科を受診しましょう。
●花粉を浴びないために
・花粉の飛散が少ない時間帯に外出を
・ふとんや衣類は外に干さない
・帰宅したら玄関外で花粉を落とす
・うがい、手洗い、洗顔で花粉を洗い流す
・室内で加湿器や空気清浄機を使用する
・乳酸菌飲食物+オリゴ糖で腸内環境を整える
・良質な睡眠と栄養バランスのとれた食事を
・規則正しいリズムで1日を過ごす
・花粉が少ない時に外遊びで体を動かす
・予防接種はスケジュール通りに受けさせる
イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子