2つセットで受けよう!細菌性髄膜炎から子どもを守ってくれる
「ヒブと肺炎球菌ワクチンの接種を助成!」というニュースを聞いた方も多いと思います。ワクチンや受け方について、小児科医の太田文夫先生にお話しを伺いました。
太田文夫先生
おおた小児科・循環器科(千葉市)院長。「VPD を知って子どもを守ろう。」の会、運営副代表。
http://www.know-vpd.jp/
●髄膜炎ワクチンセット 1回目の接種月年齢によって、間隔と回数が異なります。
「ヒブ」ワクチン
ヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)が原因の細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎などを予防。
■対象:生後2カ月~4歳
■接種時期と回数:生後2~6カ月に開始し、3~8週の間隔で3回、初回接種1年後に4回目を接種
「小児用肺炎球菌」ワクチン
肺炎球菌が原因の細菌性髄膜炎や菌血症、肺炎などを予防。
■対象:生後2カ月~9歳(助成対象は4歳まで)
■接種時期と回数:生後2カ月から、4週以上の間隔で3回、1歳過ぎ(12~15カ月)で4回目を接種
日本では年間1000人以上の子どもが発症していると言われている「細菌性髄膜炎」。髄膜(脳や脊髄をおおっている膜)の中に細菌が入り込んで、炎症を起こす病気です。
細菌性髄膜炎にかかる半数以上が1歳未満の赤ちゃん。命を落とすケースもあり、治っても、難聴やけいれん、知能や運動障害など重い後遺症を残すことも少なくありませんから、ワクチン接種によって、赤ちゃんを守ることが大切です。
細菌性髄膜炎を起こす主な原因になっている細菌が、「ヒブ」と「肺炎球菌」の2つ。この2つのワクチンを両方接種することが必要です。
細菌性髄膜炎にかかる赤ちゃんは、生後6カ月から急増します。生後2カ月からワクチン接種を開始し、生後6カ月までに各3回の接種を完了し、細菌性髄膜炎にかかりやすい時期に備えることが大切です。
もちろん、すでに生後2カ月を過ぎている赤ちゃんでも、ヒブは4歳まで、小児用肺炎球菌は9歳までがワクチン接種の対象ですから、早めの接種を心がけましょう。
今回、2012年3月までの期限付きですが、「ヒブ」と「小児用肺炎球菌」ワクチンの接種費用が助成されることになりました。
自治体によって開始時期が異なっていますが、多くは新年度までにはスタート。ワクチン接種の無料券(自治体によって、接種費用の1割程度を自己負担する場合もある)を送ってくれる自治体や、指定された医療機関で接種後、申請すると接種の費用を返してくれるところなど対応がさまざまですから、小児科や自治体に問い合わせてみましょう。
国が接種すべきと法律で定めている「定期接種」の三種混合(DPT)、BCG、ポリオなども生後3カ月くらいから接種がスタートになります。これらの接種と合わせて、「ヒブ」と「小児用肺炎球菌」ワクチン接種を受け忘れないようにすることが大切。小児科医と相談して、接種のスケジュールを立てましょう。ヒブと小児用肺炎球菌、三種混合は、同時接種もできます。
同時接種の利点は、一度に一緒に受けることで、受け忘れを防ぐことができること。小児科に行く回数を少なくでき、お母さんやお父さんの負担も軽減できます。
取材・文/高祖常子