自分自身は親との関係がよかった方ではありません。「これがしたい」と言っても全部「ダメ」「子どものくせに」と言われ、居心地がよくなかった。だから、私自身は、子どもたちの言葉を否定しないように心がけています。それは甘やかすのではなく、子どもの気持ちをちゃんと聞くということ。
頭ごなしに怒らないこと。理想の親像を描けなかったから、子どもと一緒に作り上げてこられたのかなと思います。3人のムスメは三人三様。のびのびと育っています。
子どもが本気で親を求めるのって、10歳くらいまでだと思うんです。だんだんと子ども自身の空間が広がっていきますから。でも後になって「うちの親、よく話聞いてくれたよな~」って、ふと思い出してもらえるような親でありたいと思っています。
仕事は結婚してすぐ、辞めていた時期もありました。今考えると、なぜ辞めちゃったのかな~と思います。でもまたすぐに描き始めた。一度やめたことで、自分に欠かせないものだということがわかりました。
自宅で仕事をしていた時期もありました。が、ある時、宅配便が来て玄関に行って戻ってきたら、大切な原画にグラタンが塗られていて……。それからは、仕事場と自宅は分けるようにしました。
たぶん、私が仕事をしていないと、子どものことに集中してしまって、子どもの方がうっとうしく感じるんじゃないかと思います。マンガや文章は、自分そのもの。呼吸するように、マンガを描いています。おばあちゃんになっても、書き続けたい。
私のあこがれは、よく笑う大阪のおばちゃん。「気いつけや~」って、声をかけてくれたり、子どもの頭をなでてくれたり。お節介を焼いてくれるのは、小さな草の根運動。
子育てって、自分一人でしているわけじゃないんですよね。私も草の根運動を、どんどん広げて行きたいと思っています。
『子どもにクソババァと言われたら』
著/田村節子、高野優
教育出版
1260 円
子育ての羅針盤「XとYの法則」を示し質問に答える形で、特に子どもたちが大きく変わりはじめる思春期に焦点をあてて、わかりやすく説明した本。
撮影/長尾浩之 取材・文/高祖常子 取材協力/バウムクーヘンカフェ(ユーハイム・玉川高島屋南館3F)