ロタウイルスのワクチンの使用が承認され、早い医療機関では2011年11月末から予防接種が受けられることになりました。
「ロタウイルス胃腸炎」と予防接種について、ワクチンで防げる子どもの病気に詳しい小児科医の薗部友良先生に教えていただきました。
薗部友良先生
日本赤十字社医療センター小児科顧問。VPDに対する一般の理解が薄く、予防接種を受けないために健康を損ない命を落とす子どもたちが多いという現実を改善しようと「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会を発足。著書に『育児百科』(主婦と生活社)他がある。
冬になると、インフルエンザやロタウイルスなどのウイルスが原因の風邪が流行します。寒い時期は私たちの体の免疫力が低下しがちで、ウイルスが猛威を振るうと、人から人へ次々に感染が広がります。特に赤ちゃんは、ウイルスに対して免疫がないため、非常にかかりやすくなります。
おなかにくる風邪と言われる“ウイルス性胃腸炎”は、感染力が強いロタウイルスやノロウイルスなどが原因。どちらも下痢とおう吐という似たような症状ですが、ロタウイルスは白っぽい下痢便が特徴で、高熱が出ることもあります。
2歳未満でほとんどの子どもがかかるのが、RS ウイルスによる“呼吸器感染症”。気管支に炎症が起こり、鼻水や咳、発熱、呼吸が「ぜいぜい」と音がするなどの症状が現れます。
わずかなウイルス粒子でも感染力が強く、手洗いや消毒を徹底しても完全には予防できないロタウイルス胃腸炎。毎年の流行で何度も感染する可能性があるため、発症や重症化を防ぐにはワクチン接種が大切です。世界保健機関(WHO)では、すべての子どもへのロタウイルスワクチン接種を呼びかけています。
導入が遅れていた日本でも、2011年の11月末から多くの施設で受けられるようになりました。
接種は口から飲む甘いシロップの経口生ワクチンで、接種後はいずれのワクチンも4週間以上あけるのが原則。早く免疫をつけるために、1回目は生後2~3カ月、2回目は4週間以上あけて3~4カ月(遅くとも24週最終日までに完了)に受けるのが理想です。ほかの病気の予防のためにも、2カ月から始まる複数のワクチンとの同時接種がおすすめ。かかりつけ医と相談のうえ、接種スケジュールを立てましょう。
※この記事は2012年に取材、掲載されたものです。 予防接種・ワクチンに関する最新の情報は http://www.know-vpd.jp/でご確認ください。
取材・文/中野洋子