石田純一さんとの大恋愛、体外受精での妊娠、出生前診断、そして30代後半での出産。ドラマいっぱいですが、ご本人はあくまで自然体。小さなことにも大きなことにも動じない姿勢は、ママたちのあこがれになっています。
男の子はよくおしっこを飛ばすっていうけれどうちはウンチも飛ばします。宙に舞ってすごいことになる(笑)。
でも、そんな日常がすっごく楽しい。ゆったりと暮らす楽しさを、子どもが教えてくれています。
子どもと一緒にいる時間を、できるだけ長くとりたいと思って、結婚後、すぐに不妊治療を始めたんです。人工授精を1年したあと、体外受精での移植を3回行いました。
だから、妊娠がわかったときは、それはもう、うれしかったですね。夫は「転ぶな、気をつけろ」って、心配して大変でした。最初のうち、少し内出血もあったので、ドクターからも「安静に」って言われていました。
でも、以前はずっとトレーニングしていましたから、ウズウズするんです。結局、妊娠中もストレッチだけはやめられなかったです。体がかたまると頭痛が起きてしまって。夫は「腹圧をかけないでくれ(涙)」って、横でハラハラしながら見守ってくれていました。
「私のところに来てくれる子は、母が体を動かすことには理解があるだろう(笑)」となんとなく思っていました。そして、うまれて来る子どもに、たとえ障がいがあっても、受け入れられる心構えがありました。クアトロテスト(出生前診断)を受けたことがマスコミにずいぶん取り上げられましたが、私自身は、障がい児が生まれるかも知れないことを怖がっていたわけではありませんでした。
妊娠中、病院に行くたびに採尿とか採血をするでしょう? ドクターからは説明されていたけれど、私の中では最初はクアトロテストも、その一環というくらいの感覚だったんです。いざ受けてみたら陽性判定。「ダウン症の子どもが生まれてくる確率が、通常より高い」と告げられました。
そこからもう一度検査の本当の意味を理解し直して、自分なりに考えました。それで出したのが「生むことには変わりはない」という結論。というか、「産むことが自然」だと感じていたんです。どういう個性を持った子どもが生まれてきても、注ぐ愛情には変わりはないと。大学時代を過ごした米国では、障がい者施設で遊ばせていただいた経験もありましたから、障がいを持っている子も「自然に受け入れる」という気持ちが培われていたのでしょう。
でも、夫や両親は不安だった様子。だから、たくさん話し合いました。出生前診断をしたことで、「命」を考えることができました。周りの家族にとっては、心の準備の時間になったと思います。
息子はすごく元気にスクスク育っています。夫は、いそいそとおむつ替えしたりミルクをあげたり、なんでもやってくれますよ。ホントいうと、かなりぎこちなかったりするんですけどね(笑)。私は、「やってくれる」気持ちを尊重して、感謝しています。隣の部屋に連れて行くだけでも、「さあ、大冒険に出かけよう」なんて声をかけたり。見ていて私のほうがほほえましくなります。
この間、予防接種に付き添ってくれたんですが、接種されている息子は泣いてないのに、抱いている夫の方が、力が入っていて、すごく耐えてるんですよ(笑)。
いやもう、本当にかわいがってくれているなと思います。
私の父もデレデレです。「自分のことをじぃじと呼んでくれ」宣言をしていました。よく遊びに来るんですよ。5分でも10分でも時間があるとやってきて、「写真撮ってくれ!」って。アナログ人間で、自分で写真を撮れないので、命令するんですよ。そして、写真を撮ると満足して帰って行きます。
出産前は効率よく物事を運ぶのが心地よく、それが「いいコト」だと思っていました。でも、今は「自分がやりたいことは、すぐにできない」ことを学ばされています。「ああ、ゴミ捨てに行きたい」と思っていても、おむつ換えを先にしなくてはいけなったり。
でも、思い通りに運ばないのが育児ですね。そう腹を据えてからは、何事も楽しく受け止められるようになってきました。この間も、おむつ換えのときに思いっきりウンチを飛ばされ、あまりの勢いに大笑い。すかさず写真を撮って楽しみました。
最近では、話しかけると笑うようになってきて、本当に癒されますね。それに、うまいタイミングで“相づち”をうってくれるんです。
夫と話をしているときに、「そうはいってもさ、○○だよねぇ」と話しかけると、「ふー」とか「はぁ」とか声を出して答えてくれる( 笑)。「ほら、子どもだって賛成してるよ」って、夫を説得できてしまうんですよ。
子育てについては、できるだけ親のエゴを押し付けないようにしたいと思っています。まずは、子どもが自分でやりたいことを探してほしい。親はその手助けをすればいいと思っています。
私は子どもの頃いろんな習い事をさせてもらったけれど、両親は何も押し付けませんでした。自分で「プロゴルファーになりたい!」って思うまで、見守っていてくれました。私もどっしりと構えて、子どもの考えを尊重したいと思っています。
取材・文/三輪泉 撮影/福田依子 撮影協力/品川グース内京急EXホテル