「イクメンなんて無理!」ってあきらめていませんか?
イクメンという言葉も浸透してきましたが、自分はイクメンと思っていても、ママからは及第点をもらえていないと感じるパパも少なくありません。パパ育児の必要性や、ママとのコミュニケーション、パパとしてのあり方について、子育て支援に詳しい大豆生田啓友先生にお話しを伺いました。
イクメンブームと言われれば言われるほど、つらく感じているパパも少なくないのではないでしょうか。
でも、やっぱりパパが少しでも、子育てする方が、子どもにもママにも自分にもいいんです。その理由は3つあります。
1つめは、子どもの成長にとても有効であるということ。これは、いくつかの研究結果からも明らかです。
母性は、受容、温かく包み込む愛情。父性は決断や指示、外に向かう力。子どもの成長にとっては、母性と父性の両方の側面が必要です。
たとえば、男性が得意な「高い高い」。もちろん女性でもできますが、ダイナミックな関わり方は、男性の方が得意でしょう。子どもには、母性的な関わりも、父性的な関わりも必要ということ。母性的な関わりは主に母親が、父性的な関わりは主に父親が担っていると言えるでしょう。
パパが子育てするといい理由の2つめは、ママにもいい影響があるということです。
ベネッセ教育研究開発センター次世代育成研究所では、夫婦の愛情追跡調査をしていますが、子どもが生まれることで夫婦の愛情に変化が生じ、妻の夫への愛情が大きく下降します。しかし、男性が子育てや家事に積極的に関わることで、女性のポジティブさ(夫への愛情や、子育てへのストレス)にいい影響があることがわかっています。
父親が育児や家事に関わるというのは、もちろん、直接、育児家事をするという関わり方もありますが、妻の良き相談相手、話し相手になるということもあるでしょう。
恋愛中や結婚後の2人の時代はコミュニケーションがしっかり取れているのですが、子どもが生まれるとゆっくり話すのが難しくなります。
子育てのストレスは、主に子どもを見ている女性に多くかかり、子どもに関わらない、または子どもに関わるのが難しい夫とは意識のずれが生じてくるわけです。でも、この夫婦のストレスや考え方のズレに気が付かないと、ズレが大きくなってくる。ズレが大きくなって夫婦の雰囲気が悪くなると、「夫婦でもっとコミュニケーションを取ろう」って言われても、余計しんどく感じるパパもいると思います。
私の場合は、新しい子どもが生まれ、出生体重が少なく、生まれてすぐNICUに入ったりして大変だったので、自分も子育てをせざるを得なかった。子育てのリベンジをするチャンスがあったから、その後、仕事としても、子育て支援にどっぷり関わるようになりました。
「子どもが生まれる」ということは、自分自身が変われるチャンス。自分でまず、少しでも良いからやってみる、アクションを起こすことが大切ということでしょう。
取材・文/高祖常子