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それぞれの子どもを尊重する!カナダの子育て

緊急現地取材

それぞれの子どもを尊重する!カナダの子育て

留学先などでも人気のカナダ。子育てしやすい国と名前があがることも多くあります。なぜ子育てしやすいのかを探るべく、miku編集部が、ブリティッシュ・コロンビア州の子育てを取材してきました。

取材してきました

子育てのサポートに特化した「子ども発育省」を設置

カナダBC(ブリティッシュ・コロンビア)州は、これから2020年までに、子どもの数が1割増えることが予想され、6歳までの子どもとその家族のサポートに特化した 「児童家庭省」という独立した省を設置。2012年にはTHE Families agenda For British Columbiaを発表、2013年にはBC Early Childhood Development Centreを設立しました。これから増える子どもの受け入れ先の拡大と情報提供・マッチングサポートに取り組むということでした。

 

BC州では、6歳以下の小さな子どもとその家族の子育て支援を担当する Ministry of Childand Family Development (児童家庭省)を中心に日本で厚生労働省・文部科学省に相当する3つの省が相互に連携を取りながら子育て家族の支援を進めています。

 

 

一人月約1万5千円の子ども手当

カナダの基本的な子育て支援は、6歳以下の子どもがいる家庭に対して、カナダ政府から、月100ドルとBC州から55ドル(※小切手)が支給されるということでしょう。
 
2020年までに子どもの数が1割増えると予想されているBC州では、それに対応するために保育施設の拡充が急務となっています。これから3年間で、2000カ所の認可保育施設の開設(ライセンスの付与)を目指しています。日本のように画一化した認可保育園ではなく、大型の保育園から個人宅での預かり(child day care)、依頼者の家で子どもの世話をするナニーなど、様々なライセンスを設定しています。

 

また、13歳以上になると、一定のプログラムを終了すれば子どもの世話をすることができるというのが日本には無い制度です。中学生にもなれば家の手伝いは当たり前。そのお手伝いを制度として認め、保育プログラムに組み入れています。2人以下の子どもであればライセンスは必要無く、この13歳以上の学生が、お小遣い稼ぎに子どもの面倒をみることもできます。

もちろん有資格者や経験者の保育費用は高く設定されています。ライセンスは数年ごとに更新が必要で、個人に与えられるライセンスの場合は数日間の更新プログラムを受講しないと更新できないということです。施設の充実度や規模、自分の価値観と懐具合などを考えながら、親は多様な選択肢から子どもの預け先を選んでいます。

年内には、BC Early Childhood Development Centre(幼児発育センター)が発足するということでした。組織でもありますが、施設も展開していきます。

 

※取材当日のレートは 1カナダドル=95円 実際の両替レートでは約100円

子育てのコントロールタワー 
チャイルドケアリソースセンター

子育て中の親に対して、保育園や保育ママの情報提供を行ったり、子育ての悩みに応じたり、また、子育てに関する手当の申請書など行政書類について、書き方をアドバイスしたり申請の手助けなども行っています。子育て支援者に対しては、情報提供や講座を開いたり、子育て支援の本の販売や、教材・絵本やおもちゃなどの貸し出しも行っています。この団体は25年前にスタートしたNPO。BC州からの援助と、親支援プログラムについては児童家庭省からの援助、他の予算についてはバンクーバー市から出ているとのこと。さまざまな行政の支援を受けて、活動しています。

 

1) 教材の開発も行っています。教材には指導法のレターがついていて、子育て支援者に貸し出されます。 2)センター内には、子ども部屋作りの提案もありました。

 

3) 貸し出し用の絵本がいっぱい。 4)体を使ったお遊戯や運動用具の貸し出し用セット。 5)先生に貸し出される教材セット。指人形やパペットなどの道具と台本やマニュアルが1セットになっている。

小さな子どもでも1人の人間として尊重する

世界中からの移民を受け入れているカナダ。肌の色も言葉も多様であることが当たり前で、学校のクラスでは障がいのある子も同じように区別無く一緒に学んでいるそうです。
 
プリスクールで印象的だったのが「子どもたちが何を伝えたいのか、全てのことに耳を傾けるようにしています。子どもたちそれぞれによって、必要なものが違う。だから、何が必要なのかをちゃんと見てあげることが大切。トラブルがあっても、子ども同士で解決できるように心がけています」という先生の言葉です。
 
保育の場面では、一斉に活動する場合もありますが、基本的には、外で遊びたい子ども、室内で遊びたい子どもなど、それぞれの子どもたちの意思が尊重されます。

 

さらに先生は、「この園には、いろいろな国のいろいろな文化を持った子どもたちが入ってきます。英語を話せない子が入ってくることもあります。でも、子ども同士だと、そのようなこだわりもなく、すぐに仲良くなれますね。私たちは、母国語とそれぞれの国の文化を大切にしてくださいと、伝えています。子どもにも親に対しても、これは同じです」と続けました。

「この国で暮らすから、この園で過ごすから、合わせてください」ということは全くありません。それぞれの文化や子どもたちの個性が尊重されています。

人種や肌の色が違うことを学ぶ

園児たちの教材に、いろいろな肌の色を学ぶツールがありました。色紙と、写真を見ながら、「私はどの色だろう」と、自分の肌に合わせて選んでみたり、ほかの子どもたちとの違いを知るそうです。違いを知ること、違っていてもいいし、それが当たり前ということを学びます。

 

 

>> 就学前教育サービスの一例 バンクーバーの保育園や幼稚園など

取材協力/ブリティッシュ・コロンビア州政府 取材・文/高祖常子

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