折って、切って、ちぎって、貼って!
この日、大人はほとんど手を貸しませんでしたが、子どもが4人集まれば文殊の知恵。互いに刺激しあうことで新しい発想がどんどん生まれてきます。
まず、水野さんが教えてくれたチューリップの花の部分を制作する未妃ちゃん。それを見て、隣の心優ちゃんは「裏返しにすると耳がぴょんとしたうさぎみたい!」とクレヨンで顔を描き始めます。今度は未妃ちゃんがそれに感化され、チューリップを画用紙に貼ることで世界観を広げます。いつのまにやら心優ちゃんも折り紙を画用紙に貼り始め、裏に文字を書き始めました。
そうです、折り紙の紙芝居を作っていたのです。これには一同「わぁ、すごい!」と感嘆。見守っていた大人たちも、大人が教えること以上にどんどん創造力を発展させる姿に驚かされました。既製品のおもちゃも楽しいけれど、遊び方が限られているものが多くあります。折り紙は、シンプルな紙だからこそいろいろな遊び方ができます。子ども達の遊ぶ力がグングン広がっていくのを、目の当たりにしたひと幕です。
「作る」遊びをひと通り楽しんだ後は、ゲーム感覚で遊べるおもちゃを折り紙で制作してみました。
今回作ったのは「シャクトリムシ」と「タコのダンス」。
制作活動で一度途切れかけた集中力が、動くおもちゃ作りになった途端に、また復活しました。同じ折り紙なのに、子ども達がまるで異なる体験をすることができているという証拠でしょう。ストローを使って息を吹きかけると前に進むシャクトリムシ、振動を与えると踊り出すタコ、どれも子どもたちにとってハッとする動きです。
折り方、切り方ひとつで違った動きをする折り紙。「こうしたらどうなるかな?」と、子どもたちはよりよく動くように自分で工夫をしていきます。試してやってみる……。子どもたちの脳がフル回転しています。
「私の考案する折り紙・切り紙はシンプルなものが多いですが、そこから考え、発想を広げ、楽しい作品を作り出してほしいんです」。
シンプルだからこそ折り紙は、子ども自身が考え作る力を育みます。親子で折り紙遊び、楽しんでみませんか。
奈須野壮(たける)くん(5歳)&優子ママ
画用紙をつなげて自分のキャンパスを広げていくという自然な子どもの発想を見ることができて驚きました。子どもの発想って本当に自由ですね。
古澤和樹くん(5歳)、未妃(みき)ちゃん(5歳)&智子ママ
小学3年のお姉ちゃんと家でもよく遊んでいる折り紙遊び。身近な「紙」という題材だから、いつでもどこでもぱっと遊びに展開できるのが折り紙の魅力ですね。
関口心優(みゆ)ちゃん(5歳)&恭子ママ
折り紙遊びが楽しいのはわかっていても、今まであまりレパートリーがありませんでした。今日はシンプルなシャクトリムシ遊びなどを知ることができていい体験でした!
撮影/長尾浩之 取材・文/山田治奈