食物アレルギーと上手に付き合うコツ
子どもの食物アレルギーを防ぐためには妊娠中から卵や牛乳を控えたほうがいい?
妊娠中、産まれてくる子が食物アレルギーになったらどうしようと怖がって卵や牛乳をとらないようにする方も見受けられますが、その方法が有効であるというきちんとしたデータはありません。特定の食品を除去するよりも、バランスのよい食事をすることの方が大切です。
食物アレルギーがあっても保育園に入園できますか?
もちろんできます。実際に、京都市内の保育園通園中の乳児の10%くらいは園の給食で何らかの食品の除去を行っています。ほとんどの認可保育所で対応可能ですが、入園前に必ず園に確認しましょう。
気になる症状があったらまずはかかりつけの小児科医に相談すればよい?
その通りです。かかりつけの小児科医の指導を受けても症状が改善しなかったり、十分な説明が受けられない場合は、日本アレルギー学会専門医(小児科)または食物アレルギーの治療経験が豊富な小児科専門医を受診するのがよいでしょう。
災害の時のために、アレルギー用のミルクや対応食の備蓄をした方がいい?
最近は自然災害も多いので、災害時の対応を考えておくことも大切です。各自治体で食物アレルギーの子に配慮した食料備蓄(アレルギー用ミルクを含む)を行っています。いざという時のために、お子さんが安全に食べることができることを確認できたレトルトの主食や副食を用意しておきましょう。内服薬、エピペン は袋にいれて、常に子どもに持たせておくようにしましょう。親子で離ればなれになってしまうことも想定し、小さなお子さんにはアレルギーを起こす食物を書いたカードを薬と一緒に持たせましょう。
ふたつめに大切なのは、食物アレルギーと上手に付き合う方法を親子で身につけること。
普段から「お友達からもらったお菓子は食べる前にママに必ず見せてね」、「食べている時に口がかゆくなったらすぐに出そうね」などと子どもに教えましょう。3歳くらいになると「ママ、これ食べても大丈夫?」と、自分から聞いてくるようになります。治療のためにアレルギーのある食物を与えた時や、誤って食べてしまった時に口の中のかゆみなど軽い症状を経験した場合には、その機会を利用して、薬の飲み方も含めて自分の身を守る術を教えましょう。
食物アレルギーをきっかけに「食生活を見直そう」と考え、日々を過ごしてみてはいかがでしょう。「子どものアレルギーをきっかけにインスタント調味料をやめ、昆布とかつおぶしからだしをとるようになりました。おいしくなっただけでなく、高血圧の祖父の血圧が下がりました」などの声もよく聞かれます。インスタント調味料に含まれるグルタミン酸ナトリウムを控えることになり、高血圧が改善したのです。
食物アレルギーの診断と治療に関する子どもを取り巻く環境整備はここ10年くらいで格段に進み、社会にもより受け入れられるようになってきています。ママやパパは、心配な事があったら専門医に相談し、オープンな姿勢で治療に取り組んでいきましょう。
イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ