認めることがほめること 毎日の親子の関わりを自身が大いに楽しんで!
子どもをよく観察してみると、「見て見て」と描いた絵を持ってきたり、できたことを見てもらいたがるときがあります。そのときは、すかさず対応して、「すごいね」「がんばったね」とほめましょう。出来不出来ではなく、がんばりを認める声をかければいいのです。
そしてもうひとつは、普通にできたことをほめること。朝起きて笑顔を見たら、「今日も○○ちゃんは元気いっぱいだね」。野菜を残さず食べたら「きれいに食べられたね。ママ嬉しいな」。他の子どもと関わる様子を見て、「お友達と仲良く遊べて、よかったね」などのひと声をかけましょう。何気ない行動を認める、子どもがしている行動を肯定することで、子どもの自尊心が育まれ、親子の信頼関係がより強くなります。
「どうほめるか」「どんな言葉をかけるか」ということよりも、大事なのは「子どもにどう伝わるか」の本質の部分。同じ言葉を口にしても、感情がこもっていなければ、まったく子どもの心に響きません。
「いつも応援してるよ」「○○ちゃんが嬉しいと、ママも嬉しくなっちゃう」と、子どもに伝わるように表現しましょう。たとえ言葉をかけなくても、視線を合わせて笑顔でうなずけば、子どもは承認と愛情を感じて自信を持ちます。日常のやりとりで、心からの笑顔が返ってくれば、ママとパパの愛情が伝わっている証拠です。
目と目を合わせること、抱っこやおんぶすること、ベビーマッサージなどのスキンシップは、情緒性を豊かに育てます。肌が触れ合うと親子ともに脳内に愛情ホルモンが分泌し、穏やかで幸せな感覚になります。情緒が落ち着き安心しますから、赤ちゃんの頃は大いにスキンシップをはかりましょう。
ママから少しずつ離れようとし始める2~3歳頃は、抱っこやベビーカーばかりで過ごすのではなく、子どもが自由に動ける環境を整えましょう。
「子どもは親の背中を見て育つ」という言葉通りで、ママやパパの言動をお手本にして子どもは育っていきます。家族はもちろん、近所の方とあいさつしたり、お礼を言ったり、優しい言葉をかけたり。ママ友やパパ友、おじいちゃん、おばあちゃんと、自然体でおつきあいをしていると、その様子を見て人との関わり方を子どもが学んでいきます。
子どもと向き合うには忍耐とパワーが必要です。正解もありません。だからこそ、ママ自身が、第三者から認められることが原動力になります。パートナーから「がんばってるね」と言葉をかけられたり、ママ友同士で「お互いよくやってるよね」とねぎらいあえたら、心のパワーチャージができますね。
何よりも親の心が安定していることが、子どもの健やかな心の成長に繋がります。時には自分の時間を持ってリフレッシュしたり、悩みはママ友や専門家に相談して育児ストレスをためないようにしましょう。自分なりの楽しみを見いだし、笑顔で子どもと向き合えるといいですね。
安梅先生に聞きました!
子どものほめ方、関わり方、どうすればいいの?
ほめ方がワンパターンでも、子どもにプラスになりますか?
大事なのは子どもの反応です。子どもが嬉しそうにしていますか? 喜ぶ表情は親の愛情を快く感じているからこそ。そんな様子が見られれば、無理にほめようとしなくても大丈夫です。ニコッと笑うだけでも、そばでやさしく見守るだけでもOK。大事にされていると感じて、子どもは安心します。
たくさんほめると、ワガママになりませんか?
ほめることは、その時の子どもの言動を「認める」ということ。ほめ過ぎということはありません。ただし、子どもがぐずったり言うことを聞かない時に、ご機嫌を取るためにほめるのはNG。同じことがあるたびに、「ほめてもらえないと満たされない」というパターンになり、逆効果です。しっかりハグしたり、目を見て優しく語りかけることで、愛情を感じさせましょう。
つい「ダメ!」と言いがちです。どのように伝えるのがいいですか?
トラブルを避けるため、危ない時や人の迷惑になるような時は、しっかり「ダメ」と言うべき。きちんと目を合わせ、ダメな理由も短くわかりやすく伝えましょう。「ダメ」と言っても、なかなか1度や2度では伝わりませんが、親子の信頼関係が育まれ、子どもの気持ちが満たされていれば、ダメと言われることはだんだんしなくなっていくでしょう。
イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子