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生活力を培うには日々の家事を一緒に!子どもと楽しむ“お手伝い遊び”のすすめ

生活力を培うには日々の家事を一緒に!

子どもと楽しむ“お手伝い遊び”のすすめ

子どもにお手伝いをさせたい、して欲しいと思うママは少なくありません。でも実際は、どうやらせたらいいかわからない、お手伝いをさせる時間がとれない、逆にイライラするので家事に手を出させたくない、という悩みもあるようです。昭和女子大学の藤崎春代先生にポイントを教えていただきました。

藤崎春代先生
昭和女子大学人間社会学部心理学科特任教授。発達心理学が専門。幼児期の子どもの心や言葉の育ち、園生活への適応などについて臨床研究に取り組んでいる。著書は『「気になる」子どもの保育』(共著・ミネルヴァ書房)他。

家事に子どもを巻き込んで“お手伝い遊び”を楽しもう

幼児期の子どもにとって、日常生活のすべてが遊びであり、知的好奇心を高めていく学びの場です。歩けるようになった子どもに、おむつ換えの時、「おむつを持ってきて。お願いね」と伝えると、おむつを持ってきてくれるかも。「ありがとう。エライね」とママが喜んで褒めてくれたら、子どもは嬉しくてまたやってくれるでしょう。お手伝いの始まりは、このような“お手伝い遊び”からです。
 
親は1日の中で、家事の時間、子どもと遊ぶ時間、休息の時間と分けて考えがちですね。でも子どもはすべてが連動しています。お昼寝の間に家事を済ませるより、ママの仕事ぶりを子どもに見せましょう。
 
「お手伝いさせよう」と構えるとそれもママの仕事になってしまいます。炊事、洗濯、掃除、買い物など、家事の一部を “お手伝い遊び”の時間ととらえること。「子どもと一緒に遊ぼう」と発想を転換することがポイントです。

 

忙しい夕食の準備の時、そばに来ると危ないからと、子どもにテレビを見せていませんか?  

 

キッチンは、子どもの知的好奇心を育てるネタの宝庫。有意義な“お手伝い遊び”の場ですから、子どもができることをやらせてみましょう。

食事のしたく、洗濯、買い物もお手伝い遊びの舞台として

できあがった料理を見るよりも、にんじんを切ったり、レタスをちぎったり……。素材の状態から関わり、調理によって変化するプロセスを見る方が、子どもはワクワクするはず。野菜の名前を覚えたり、食べたい気持ちも生まれます。野菜洗いは水遊びの延長で喜んでやりたがるでしょう。お皿やお箸をテーブルに運ぶことも、一度お手本を見せれば丁寧にやろうとします。

洗濯物を干す時に1枚ずつ渡してもらうことは、歩ける子ならできるかも。「パパのT シャツ大きいね」「このタオルはピンク色。四角いね」など、大きさ、色、形などを教えることができます。もう少し大きくなったら、広げてシワを伸ばす、ハンガーに通して干すことも、ママの見よう見まねでできるでしょう。

スーパーでの買い物では、始めに「ママのお買い物、手伝ってね」と伝えて、子ども用のカゴを持たせると、子どもはむやみに走り回ったりしないものです。

並んだ野菜を見ながら「これはレタスね。キャベツはどれかな?」「じゃがいも3つ、カゴに入れてね」など、会話しながら買い物しましょう。楽しい会話を通して、ボキャブラリー豊富になり、子どもの知力が磨かれていきます。

はじめは上手にできなくて当たり前。たとえ失敗してもやったことを評価し、「助かったよ。ありがとう」と伝えましょう。人の役に立てると誇らしい、喜んでもらえると嬉しいというように、 “お手伝い遊び”を通して自尊心や自己肯定感が育まれます。「できた!」という経験が増え、自信になります。

お手伝いに、時間がかかるのは当然のこと。辛抱強く待つことが大切です。でも、気持ちに余裕がないときは、じっくり向き合うことはできませんね。手間取る子どもにイライラしてしまうので、無理をしないことです。 

ママとのお手伝い遊びの場面で遊びの種がインプットされる

最近は、ままごとで何をしていいかわからない子どもが多く、ごっこ遊びに広がりがありません。“ごっこ遊び”は見たり聞いたり体験したことを、振り返りながら再現する遊び。経験や、動きを観察できるモデルが必要です。料理をする姿を見せていない、パパは会社に行って帰ってくるだけでは、子どもが真似るモデルがありません。
 
ごっこ遊びはママやパパの真似っこが基本。トントンと包丁で切る様子、掃除機をかける様子、パパの仕事ぶりなど、大人の姿をモデルにして上手に演じるものです。

ママが家事を子どもと一緒に楽しもうと意識すると、その姿に興味を持って子どもが観察し、真似しはじめます。ママと同じようにできて嬉しいという気持ちとともに、“お手伝い遊び”を通して遊びの種が自分の中にインプットされます。その種がごっこ遊びをした時に芽を出し、他の子どもと一緒に遊びを発展・創造させていくわけです。

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

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