家族ぐるみでお付き合いを
子どもが小さいうちは、病気のときだけでなく、予防接種や健診など何かと病院のお世話になるもの。だからこそ、かかりつけ医を持つ事が大切です。かかりつけ医と調剤薬局の探し方や付き合い方について、小児科医の佐藤好範先生に聞きました。
佐藤好範先生
さとう小児科医院(千葉県千葉市)理事長。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医、千葉県小児科医会副会長。2002年より病児保育室バンビーノを始め、地域の小児医療に貢献。 http://satoh-syounika.com/
子どものかかりつけ医は、「小児科」を標榜している小児科医がよいでしょう。小児科医は、子どもの病気を診るだけでなく健診や予防接種にも対応します。加えて、子どもの成長を見守り、子育てに不安や悩みをかかえるママの気持ちを受け止め、手をさしのべる役割を担うこともあります。家族以外でママの心に寄り添ってくれる小児科医の存在は、とても心強いもの。子どもだけでなく、ママやパパも診察してもらえることが多いので、家族ぐるみでお付き合いできるといいですね。
かかりつけ医を探す場合は、先輩ママたちの評判を参考にするのがいちばん。ネットで調べたり、地域の子育てひろばのスタッフに聞いてみるのもよいでしょう。いちばん大切なのは、医師と話しやすいか、医師が疑問に答えてくれるかどうかです。何軒か受診して「ここ」という医院を選びましょう。かかりつけ医を決めたら、継続してかかる事で子どもの体質などを把握してもらえ、より適切な診療を受けることができますし、子育ての相談もしやすくなるものです。かかりつけ医が休診の時や、夜間突然体調を崩した時に訪ねる医院も調べておくと安心です。
受診の際は、「いつ頃からどのような症状で、今どんな状態か」などを医師にくわしく話すことがよりよい診療の決め手になります。子どもの事をよく知る人が病院に連れて行くのが基本です。ママとパパが情報共有し、仕事などで祖父母に受診をお願いする場合は、子どもの症状を事前にしっかり伝えましょう。「耳を痛がる」「湿疹ができた」など、耳鼻科や皮膚科の病気が疑われる場合も、まずは子どもの全身を診ることができる小児科を受診し指示を仰ぎましょう。その後、必要に応じて専門医につないでくれると思います。
初めての育児の場合は、「鼻水だけで連れてってもいいの?」「熱が37度5分だけどもう少し様子をみるべき?」など、どのタイミングで受診するか悩むものですが、軽い症状でも気になる時は足を運んで0K です。医師からアドバイスをもらえばママ自身が安心できますし、「次に同じような症状になったら少し様子をみよう」など“学習”できるでしょう。そうすることで、医師との信頼関係も育っていきます。
診療後に薬をもらう調剤薬局も、かかりつけ医と連携がとれている薬局に決め、かかりつけ医と同様に継続して利用しましょう。子どもが飲みやすい薬などを把握してくれ、成長に応じて飲み方などのアドバイスももらえます。
また、同じ薬局を利用することによって、他の医療機関との薬の重複を防いだり、飲み合わせなどについても注意してもらえます。処方の際に指導された飲み方をきちんと守ることが、回復への近道。かかりつけ医や調剤薬局との“連係プレー”で子どもの健康を守っていきましょう。
●診療システムなどを把握
予約不要、電話予約、WEB予約など医院の診療システムを事前に把握した上で、予約や受診を。わからない事は遠慮せずにスタッフに質問しましょう。
●マスクやタオルを活用
せきが出る子はマスクをさせて。吐き気がする子はタオルやビニール袋を、下痢気味の子はオムツを多めに用意して受診しましょう。
●感染症の疑いがある時は事前連絡
手足口病や水ぼうそうなど感染症の疑いがある時は、他の子に移さないよう事前に連絡し、別室で待たせてもらいましょう。
イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ