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男女平等、人権を大事にする国 フィンランドの子育てに学ぼう!

男女平等、人権を大事にする

フィンランドの子育てに学ぼう!

祝福と歓迎のシンボル育児パッケージ

フィンランドの子育て支援で注目されているのが、育児パッケージとネウボラです。育児パッケージは、出産のときに、KELA(フィンランド社会保険庁事務所)から支給される母親手当のひとつです。母親手当は、赤ちゃん1人につき140ユーロの現金支給または育児パッケージのどちらかを選ぶことができます。ほとんどの家庭、特に第1子を迎える家庭では育児パッケージを選択しています。

育児パッケージをもらうにあたって所得制限はありませんが、ネウボラもしくは医療機関での妊婦健診の受診をすることが必要です。育児パッケージを無料で提供することによって、妊婦健診の受診を促し、ネウボラにつなぐ仕掛け部分をも担っています。現在ではほぼ全員が妊婦健診を受け、妊娠・子育てにおいてリスクのある母親や家庭の早期発見・早期予防に貢献しています。

フィンランドは貧しい国だったため、母子死亡率が高かったのですが、育児パッケージとネウボラによって、妊産婦と乳幼児の死亡率も大きく改善されました。

生まれてくる子ども全員へ送られる育児パッケージ

毎年4万世帯に配布されています。中身はベビーケアアイテムやベビー服、親が使用するアイテムなど約50点。育児パッケージの箱は赤ちゃんの最初のベッドとしても使え、箱のサイズにあわせたマットレスや羽毛布団、ベッドリネンが用意されています。パッケージの中身は男女共通で、価格や用途、両親からの要望や感想も取り入れながら1~2年ごとに少しずつ改良されています。

育児パッケージの箱はそのままベビーベッドとしても使えます。

妊娠期から就学前までを支える「ネウボラ」

ネウボラ(neuvola)はアドバイス(neuvo)の場という意味。妊娠期から就学前までの子どもの健やかな成長・発達の支援や母親のサポートはもちろん、父親、きょうだい、家族全体の心身の健康サポートも目的としています。
 
フィンランドでは妊娠の予兆がある時点でまずネウボラへ健診に行きます。ネウボラは全国の全ての自治体にあり、健診は無料です。妊娠期間中は6~11回、出産後も子どもが小学校に入学するまで定期的に通い、ネウボラおばさんからアドバイスをもらいます。
 
ネウボラは特別な養成期間があるわけではなく、保健師(一部は助産師)がこの役割を担っています。ネウボラおばさんと言いますが、一部男性もこの役割を担っています。
 
健診では母子の医療的なチェックだけでなく、個別に出産や育児、家庭に関する様々なことを相談でき、1回の面談は30分から1時間かけて、丁寧に行います。
 
ネウボラおばさんは、基本的には妊娠期から子どもが小学校にあがるまで、同じ担当者が継続的にサポートをします。お互いに信頼関係が築きやすく、相談しやすいのも特長。問題の早期発見、予防、早期支援につながっています。医療機関の窓口の役割もあり、利用者のデータは50年間保存されます。出産入院のための病院指定、医療機関や専門家の紹介もしてくれます。

 

 

日本でもネウボラがスタート

日本でも妊娠期からの切れ目のない支援が叫ばれ、また、労働力確保の観点からの女性活躍がうたわれています。日本でもいくつかの地域でネウボラを手本にした仕組みがスタートしています。男女ともに働きやすく子育てしやすいベースを作ること、そして子育てする親子への支援は国が責任を持つという覚悟。フィンランドから、いくつかのヒントをもらえるように思います。

妊娠~子育てに寄り添うネウボラおばさん

妊娠中はパートナーと一緒に妊婦健診を受診。妊娠中から父親の子育てについてのアドバイスも受けます。フィンランドでは産後3日で退院しますが、6日目ごろにネウボラおばさんが自宅に来てくれます。赤ちゃんとママの健診のほか、赤ちゃんを迎える環境のチェック、赤ちゃんの抱っこの仕方、産後の変化や心配なこと、母乳について、食べていいものいけないもの、どんな運動をしたらいいか、用意した方がいいものなど、さまざまなアドバイスを行い、相談に応じてくれます。

妊婦健診にも、パートナーと一緒に行くのがトレンド。

 

妊娠中のママの体調チェックや、赤ちゃんとママの健診のほか、子育てアドバイスはネウボラおばさんの重要な役目です。

取材協力・写真提供/フィンランド大使館 取材・文/高祖常子

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