食事のリズムと栄養バランスを心がけ「食べたい!」を増やそう
「離乳食+おっぱいやミルク」という生活から「3度の食事+おやつ」への移行期に必要な栄養素や食材はどんなものでしょう。また、苦手な食材を上手に取り入れる方法について、管理栄養士の飯田彩香先生に伺いました。
飯田彩香先生
あかね薬局(東京都文京区)メディカルパートナー、管理栄養士。薬局にくる方々一人ひとりに合う食のアドバイスや食事についての相談に随時応じている。
http://www.forall.jp
離乳食の大切な目的のひとつとして、「食べる楽しさを伝える」ことがあげられます。離乳食後期くらいから始まる手づかみ食べは、「①目で見て確かめ、②手指でつかみ、③食べる」。この繰り返しが、スプーンなどの食器を上手に使って“自分で食べる”ことにつながり、食べる楽しさを実感できるようになります。ご飯はおにぎりにする、野菜は棒状に切るなど工夫し、手づかみ食べしやすい食事を工夫しましょう。
離乳食が完了し幼児食へと移行する1~2歳は、自己主張が激しくなってくる時期です。好き嫌いがはっきりしてきて食べムラが出てくることもありますが、そこで無理強いすると、食べることに消極的になってしまうことも。朝食、昼食、夕食の時間を決め、日中はなるべく体を動かし、「おなかすいた! 早くごはん食べたい!」と思えるような生活リズム作りを心がけましょう。
幼児食期の栄養面で大切なことは、体を動かすエネルギーになる炭水化物(米、パン、うどんなど)、血液や筋肉を作るタンパク質(肉、魚、卵など)、体の調子を整えるビタミンやミネラル(野菜、果物、海藻類など)をバランスよくとること。これを意識すると、食材の彩りも鮮やかになり、「食べたい」という意欲につながりやすくなります。
おっぱいやミルクを飲まなくなるこの時期は、カルシウムや鉄分が不足しがち。乳製品、まぐろなど赤身の魚、小松菜など葉物野菜を意識して取り入れましょう。
幼児期は、活動が活発になるにつれて体もぐんぐん成長するため多くのエネルギーが必要になりますが、1日3回の食事では補えない場合があります。そんな時に取り入れたいのが「おやつ」。
「おやつ=お菓子」というイメージがありますが、幼児期のおやつは“第4の食事”。「おにぎりとみかん」、「ふかしたさつまいもとヨーグルト」など、足りない栄養を補う補食と考えるといいでしょう。
子どもが嫌いなものがあると、親としては悩みの種。しかし、幼児期は味覚を感じる味蕾(みらい)が最も発達する時期なので、ピーマンなどはその苦みを舌でより感じるからこそ食べにくいこともあります。この時期の好き嫌いは一生続くわけではありませんから、調味料や調理法を変えるなど、できる範囲で工夫していきましょう。「食べられた→ママにほめられた→うれしい→また食べてみよう!」というポジティブサイクルになるよう心がけ、食べる楽しさを伝えていきましょう。
食材を細かく刻むなどして“隠す”よりも、調味料や調理法を変えてみましょう。例えば苦みの強いピーマンは、カレー粉で炒めると味が濃くなって「食べやすい」と感じることもあります。フライにしたり、バターで炒めたりなどでも風味が変わって食べやすくなります。
●生野菜が苦手
コールスローにする。少量の塩でもむ。しんなりするだけでも食べやすくなる。
●トマトが食べられない
ミートソースの材料として使う。トマトソースを作ってリゾットにする。
●ひき肉のボソボソ感が苦手
豆腐ハンバーグにして食感をなめらかにする。シューに入れる。コロッケやグラタンに入れる。
●魚の生臭さが苦手
ゆでてくさみをとってから、ホワイトソースなど好きな味と組み合わせ、焼いたり蒸したりする。
イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ