どんなポイントで選んだらいいの?どんな注意が必要?
子どもが生まれる、生まれたタイミングで家選びを考える方も少なくありません。夫婦二人だけの生活と違って、どんなことを注意したらいいのでしょうか。住宅ジャーナリストの山下和之さんにお話しを伺いました。
山下和之さん
住宅ジャーナリスト。山下事務所代表。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。著書は『家を買う。その前に知っておきたいこと』(日本実業出版社)ほか。
働く大人だけの生活の場合は、駅からの利便性や居住空間の快適性などが住まい選びの大きなポイントになると思いますが、子育て家族の家選びでは「地域」が大きなポイント。自治体の子育て支援策はさまざまですが、子育て家族に住んで欲しいといろいろな施策を行っている自治体が増えてきています。住む地域から検討している場合には、「子育てしやすい街ランキング」がいくつかの調査で出ていますから参考にするといいでしょう。
一戸建ての場合も、やはり周辺環境が家選びを考える上で大きなポイントになります。子育てにおいては、わが家だけではなく、公園や子育てひろばに行ったり、幼稚園や保育所、小学校に通ったり、近隣の子どもや大人との遊びや関わりも含め、地域の中で子どもが育っていくことを念頭において考えましょう。
戸建て住宅の大規模開発や、大規模マンションの場合にも、交流するスペースや仕組みを考えてデザインするケースが増えています。
コミュニティスペースを設けたり、共用のキッチンスペースがあったり、アウトドアメーカーとタイアップしてテントをレンタルできるなど、家族やグループで楽しめるような仕掛けを工夫しているところもあります。
家については、乳幼児の子育てをいかに安全に快適に行えるかどうかがポイント。玄関にベビーカーを収納できるスペースがあったり、ドアのちょうつがいに指はさみ防止の工夫が施されている、ぶつかったときに危なくないよう、壁や柱の角を面取りしているなども家選びのポイントになるでしょう。
バリアフリー化されているかも重要です。日本は湿気が多いため住居が傷まないよう、建築基準法で土台を地面から30㎝上げるように規定されています。居住空間内での段差はもちろん、玄関の段差をどう解消しているかなども家選びのポイントといえるでしょう。
東京都では「東京都子育て支援住宅認定制度」を実施しています。認定されていれば安心ですし、認定されていなくても気になるポイントはチェックシートを参考に確認してみましょう。
共働きが増え、親世代の子育てサポートを期待する家族も少なくありません。玄関は別にして一軒家として建てる二世帯住宅、近居に建てるなど、いろいろな選択肢がありますから、親との暮らし方も考慮するといいでしょう。
資金の計画も相談しましょう。住宅販売会社は説明責任がありますが、それは物件に対する説明責任。有利な資金計画のアドバイスがあまりされないケースもあるようです。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)では、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携してみなさまに提供している長期固定金利住宅ローン「フラット35」を実施しています。新しくスタートする「フラット35育て支援型」は、親と近距離に暮らす場合に金利が安くなるなどの優遇措置がありますから、チェックしておきましょう。
●東京都子育て支援住宅認定制度
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/child-care-seido.html
東京都が行っている住宅認定制度。住んでいる人の安全性や家事のしやすさなどに配慮された住宅であり、子育てを支援する施設やサービス提供などを行い、子育てしやすい環境づくりの取組を行っているかどうかをチェックし、基準に合致した住宅が認定される。ホームページからチェックシートをダウンロードできるので、住宅選びの参考に。
●住宅金融支援機構
http://www.jhf.go.jp/
住宅購入にあたって、さまざまな金融サービスの提供を行っている。最長35年の長期固定金利住宅ローン「フラット35」や、金利引き下げのある「フラット35s」「フラット35子育て支援型」の紹介も。
取材・文/高祖常子