子どもを守り、安全に使うために
子育て中に手軽に連絡が取れたり、新たなつながりが生まれる一方で、ママ同士のトラブルや「SNS疲れ」という声も聞かれるように。楽しく安全に活用するために、SNSと向き合うコツや注意したいことを、情報モラルの専門家 石川千明さんに伺いました。
石川千明さん
NPO法人奈良地域の学び推進機構理事・チーフ研究員。株式会社カプコンで女性ゲームプランナーとして活躍後、WEB制作コンサルタントの傍ら、子育て支援グループいこま育児ネットを設立。学校や自治体等で、ネットトラブルの現状と対策に関する講演を実施。サイトから直接石川さんに相談することもできます。http://www.j-moral.com
●インターネットの人権相談
インターネットによる人権侵害などの相談を受け付けています。
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200808/3.html
SNSは、ソーシャルネットワーキングサービスの略。フェイスブックやインスタグラム、LINEなどは、忙しい子育て中のママにとっては便利なアプリです。たくさんの情報を知ることができ、繋がっている人が広がるというプラス面がある一方、「ほかの子と成長を比べてしまう」「自分だけが誘われていないママ会があった」など知りたくない情報まで知ってしまうこともあります。また、他の人がキラキラしているように見えて焦るなどのマイナス面もあるでしょう。
SNSを使うときには、①情報に振り回されない②マナーや法律を守る③個人情報に気をつける、という3つの基本を心掛けましょう。
ブログやフェイスブック、インスタグラムなどにアップした写真や文章は、友だち限定に設定していても、一度アップすると転送されたり保存されたりして残る可能性があります。たとえ削除しても、スクリーンショットで拡散されてしまう場合もあります。
自分や家族、そして友だちの安全を守るためにも、次のことに気をつけましょう。①家族(夫や子ども)のことを書きすぎない②園の保護者や先生のことを書かない③保護者の了解なしで子どもの友だちの写真をアップしない。本文やコメントに他の子どもの名前を書くのもNGです。
SNSで大事なことは、発信する側も受け取る側も「相手の気持ちを想像すること」です。ネット上にはいろんな価値観の人がいます。スピードが速いコミュニケーションだからこそ、「人として正しいか」を立ち止まって考えられるといいですね。
そして、パパやママ自身が、スマホに依存しないことも大切です。休みの日にはスマホを置いて出かける、パソコンやスマホを見る時間を決めるなど、「デジタルデトックス」をしてみましょう。
インターネット時代を生きていく子どもたちは、小さくても、大人の使い方をよく見ています。人(子ども)と話す時や食事中はスマホを見ない、使う時間を決めるなど、親自身がお手本になる行動をしましょう。
Q&A
LINE やFacebook のグループトークで、一日に何件もメッセージが来るので大変です。
グループチャットでのやり取りをする際は、「私はもともと返信が遅いタイプなの」と言っておくとよいでしょう。文字によるやり取りでは、打ち間違えや意味の取り違えなどからトラブルも起こりがち。そのため時間も神経も使います。グループに入らない、または必要なものだけ返信する(全部に返事を返さない)というスタンスを取ってもいいのです。トラブルが起きた場合は、ネット上ではなく直接話して解決した方がよい場合もあります。
子どもにスマホを貸す時に注意することは?
スマホの中には大切な個人情報がたくさん入っています。子どもに貸す際はフィルタリング※1をし、子どもだけで使わせないようにしましょう。YouTubeで子ども向け動画だと思って見ていたら、途中から不適切な動画になったという例も増えています※2。YouTube kidsを利用し、必ず大人がそばで一緒に見るようにしましょう。また、解約したスマホをおもちゃ代わりに子どもに渡すのもトラブルの元なのでやめましょう。
※1 あんしんフィルター。子どもを不適切なサイトや有害アプリから守るサポートサービスのこと。各電話会社によりサービス内容が異なる。
※2 「 エルサゲート」と呼ばれている。
取材・文/さわらぎ寛子