text by Yasumi Ueno (ファイナンシャル・プランナー上野やすみ)
お子さんの将来に向けて − 教育資金の準備
■教育資金にはいくらかかる?
教育資金はどのくらい必要なのかをきちんと知っていることで、「いつまでに、いくら準備する」という計画も立てやすくなります。まずは、文部科学省が調査したこどもの教育費のデータを見てみましょう。
<こどもの教育費>
すべて公立の場合で約790万円、私立の場合は約1900万円かかることになり、かなりの金額になりますね。でも、これは一度に必要になるわけではなく、幼稚園から大学卒業までの約18年間にわたって支払うもの。高校までは家計費の中からまかない、まとまってかかる大学費用を中心にこれから貯めていくことを目標にしましょう。
教育費の特徴は「大学生になるのは何年後」と、必要な時期がわかること。早く準備をスタートすれば、毎月の積立額もそれだけ少なくてすみ、家計への負担も小さくなります。また、期間が長ければ運用して殖やすなど金融商品の選択肢も増えてくるので、今からコツコツ貯めていきましょう。
※私立小学校の教育費が高く見えるのは、6年間の合計だから。1年あたりにすれば、中学校と変わりません。
■家計を見直して貯蓄を増やしていくには?
家族が増えて、まだ新しい支出のペースがつかめていないという人もいるかもしれませんね。妊娠・出産までに働いていた方も、産休や退職で家計収入も減少していることでしょう。
まずは、家計の状況を洗い直して、お金をかけるもの、かけないものを明確にしていきましょう。無駄遣いをしていないつもりでも、200円、300円といった何気なく使っているお金は意外と多いものです。この小さな支出を見直して、1日500円を毎日貯めていくだけでも、1ヶ月で1万5000円になり、1年で18万円、10年で180万円にもなります。
再就職してから貯蓄しようという人もいるかもしれませんが、収入が増えると支出も増えていく傾向があるので、今の収入の範囲で上手に使い、貯める習慣を身につけておくことが大切です。そうすれば、収入が増えてから貯蓄のペースを上げていくことも無理なくできるようになるでしょう。
教育資金は使う目的が決まっているとはいえ、10年以上先の資金でもあるので、定期預金など安全性の高いものと同時に、一部分を投資商品で運用していくことも考えてみましょう。
まず、元本保証のある金融商品としては、自動積立定期預貯金、会社員の財形貯蓄、こども保険が代表的です。いずれも給料をもらったらすぐに貯蓄にまわるので、使いすぎて貯められないという心配がありません。定期預金は他のことに使ってしまわないように、教育資金用の口座を設けておくといいですね。
こども保険は、契約者である親に万一のことがあっても教育資金が保障されるのがメリットです。保険会社によって保障内容や保険料が異なるので、比較検討して選びましょう。
投資商品では、少額から始められてリスクの小さいものを選ぶことが大切です。1万円から始められ、運用のプロが株や債券などに分散投資してくれる投資信託のほか、外貨建て金融商品も上手に活用すればローリスクな運用も可能になります。