2004/6/24
◆子育て家族のアウトドア講座 第19回◆
「安眠の心構えと寝袋の知識」
真夏のキャンプで寝苦しい経験をする人がいます。「キャンプ=寝袋」という方程式が頭から離れずに、気温が高いにもかかわらず寝袋(シュラフやスリーピングバッグとも言います)を使ってしまう人たちなのです。逆に暑いはずの夏のキャンプなのに「とても寒かった!」という思い出を持っている人もいます。これにもまた理由があります。
低地でのキャンプには寝袋は不向き
暑さの原因は簡単です。夏は、標高が高い場所を除いて、夜でも気温が高いのです。普段、自宅だとタオルケットくらいで寝ているのに、「キャンプ=寝袋」の方程式が頭から離れず、また、寝袋に入ることがキャンプの楽しみであるかのように、つい寝袋に入ってしまうのです。寝袋は通常、ナイロンもしくは合成繊維の間に熱を保持するために綿が入った生地で作られていて、夏用とはいえ、それなりに保温性を持っています。だから、湿度も気温も高い日本ではあまり使えない道具なのです。なので、真夏(夏休み)のキャンプでは、寝袋ではなく、タオルケットやフリースのブランケットなど薄手のものをお腹の上にのせて寝るなど暑くならないような調整が必要です。
地面にはマットを敷く
寒さの原因は、地面からの冷気を遮断できていないからなのです。地面は真夏でもかなり低温になり、むしろ寒く感じるほどです。これは、ウレタン製や空気を入れて膨らませるタイプのマットを敷くことで防ぐことができます。通常、マットの厚さは1.5センチあれば地面の冷気を遮断できると言われていますので、それ以上の厚さのマットが欲しいところです。それ以下だと、状況によっては地面の冷たさを感じてしまいます(特に標高の高い場所では)。
もちろん、ある程度寒くなったり、標高が1000m以上あるような場合には、マットだけでなく寝袋が必要となります。
寝袋には、一般的にマミー型(人形型)とレクタングラー型(封筒型)という二つのタイプにわかれます。コンパクトで保温性が高いのが前者で、かさばりますが布団のような寝心地が得られるのが後者です。家族分そろえると、収納時もかなり膨らんでしまいますので注意が必要です。
寝袋の保温性を左右するインシュレーション(中綿)には、人工綿とダウン(羽毛)とがあります。それぞれに性能のランクもありますが、一般的にダウンを使用したものの方が保温性が高く、コンパクトに収納できます(小さく潰せて、大きく復元するのです)。インシュレーションについても、布団の綿のように長年使用しているとつぶれて「へたり」が出てきますが、ダウンの方がそれが少なく、長持ちします。ただし、ダウンは水にぬれるとつぶれてしまって保温性を発揮できなくなるのに対し、人工綿はぬれてもつぶれにくいため、湿気の多い環境での利用に強いといわれています。でも、寝袋のインシュレーションがすべてぬれてしまうような場面というのはあまりないですね。
マットは、地面の冷気を遮断することが最大の目的ですが、地面の凸凹を吸収して居心地をよくしてくれたり、テント内に雨が浸水してきた時にその厚みのおかげで水に濡れないで済みます。マットは、ある意味快適に眠るための生命線なので、ウレタンなどの決してつぶれないものにしておきます。エアーマットは何かの拍子に穴が空いて空気が抜けてしまったらまったく使い物になりませんので、最初から選ばないようにしましょう。
最後に、寝袋(タオルケットも)は、一晩寝るとかなりの汗を吸収します。なので、そのまま収納してしまうと汗が原因でカビが発生することがあります。 自宅に持ち帰って2,3日手入れをサボったりしたらかなりヤバいです。なので、できれば(晴れていれば、ですが)、キャンプ場で写真のように乾燥させてから収納した方が安心です。