2004/8/19
◆子育て家族のアウトドア講座 第22回◆
「危険な生物にご用心」
アウトドアフィールドでの遊びは、常に危険があることを忘れてはなりません。特に生き物の活動が活発なこの時期、危険な生物の知識を持っておくことは重要ですので、かわいい子供たちの安全なアウトドアライフのためにも対処も含めきちんと頭に叩き込みましょう。
まずは、フィールドでの基本ということで、以下のようなことを考慮しておいてください。
・ | 服装−基本的に長袖・長ズボン。 |
・ | むやみに草むら(彼らのテリトリー)などに入り込まない。 |
・ | 事前に生き物の習性をよく理解しておくこと。 |
・ | 正しい対処・応急処置法を知っておくこと。 |
・ | 常に周囲に気を配り、注意しておく。 |
(1)ヘビ
沖縄や南西諸島を除けば、国内に生息する毒蛇はマムシとヤマカガシです。マムシの毒牙は上あごの前歯2本で、噛まれると皮膚組織・血管の破壊が起こり広がっていきます。ヤマカガシは、上あごの一番奥2本の歯が毒牙で、噛まれると血液が凝固しなくなり、全身の皮下出血などの症状が出ます。ヤマカガシの毒牙は奥にあるので、触ったりしてちょっと噛まれたとしても毒が皮膚に入り込むことはないケースが多いようですが、足首の細い幼児や、あるいは手でもてあそんでいて手指をやられると、奥の毒牙に届き大変なことになりますので要注意です。 ヘビに噛まれないためには |
・ | 裸足やサンダルで草のしげった野山を歩かない。 特に子供は肌の露出の多い服装が多いので注意です。 |
・ | むやみに藪に入らない。木の枝や岩など不用意に触らない。 |
・ | ねずみやカエルなどの小動物がいるところには、ヘビがいることを心得ておく。 |
・ | 夜中は必ずフラッシュライトを持って、足元や頭上の障害物を確認しながら行動する。 |
・ | 触らない。種類が分からないものは特に。 |
・ | キャンプ場近くの病院の電話番号を携帯電話に登録しておく。 |
・ | リムーバーを用意しておく。 |
もし噛まれてしまったら |
・ | 慌てず、落ち着くこと。落ち着くことで脈が速くなるのを防ぎ、毒の回りも早くなりません。 |
・ | 迅速に病院に連絡し、医者に見せる。動けない場合には、家族や仲間に抱えてもらう。毒が回らないように極力身体を動かさない。 |
キャンプの朝など、テントの外に置いておいた靴の中などに入っていることもあるので、靴を履く前に中を確認しましょう。 |
(2)ハチ、アブ、ブヨ
アシナガバチ、ミツバチをはじめとして、蜂はすべて危険であると警戒しましょう。特にキイロスズメバチ、スズメバチは攻撃的で毒も強烈です。刺されたらオシッコ(アンモニア)をかければ治ると子供の頃言われていましたが、これは大間違いで、抗ヒスタミン軟膏を塗り、水で冷やしながら早めに医師に見せるようにします。下手をするとショック症状が出て、死に至ります。アブは夏の海岸沿いや河原の岩の周辺などでよく見かけます。ブヨは体質により水ぶくれのようにひどく腫れることがあります。 蜂に刺されないために |
・ | ハチは黒いものを見ると襲いかかる習性があると言われていますので明るい色の服や帽子を着用しましょう。 |
・ | 蜂を見かけたら、周りにもいないか確認し、その場を離れます。特に巣を発見したら絶対に近寄らないようにします。うっかり近づいてしまったら、身体を低くし、ゆっくり後ずさりして巣から離れます。手や木の枝などで払いのけるようなことは厳禁です。 |
アシナガバチなど、夏場は巣を作り、子育て真っ最中で気も立っているので用心しましょう。 |
(3)カエル
なんとなくほのぼの系生き物の蛙にも要注意な種類がいます。ヒキガエル、アマガエルがそうで、それらは外敵に襲われると皮膚から毒を分泌します。なので、捕まえた時点で手にはその毒がついてしまいます。その毒のついた手で目や口を触ると腫れたりします。腫れてしまったら、綺麗な水でしっかり洗って医者に見せましょう。 特にアマガエルは、子供が不用意に触ってしまう生き物なので、キャンプに行く前に図鑑などを一緒に見ながら子供にも知識を覚えさせておきます。 |
(4)ムカデ
ムカデの毒は神経毒で、噛まれると激しく痛んで赤く腫れます。ムカデは自分の身体に触れてくるものに対しては素早く反射的に噛みつこうとしますので、決して触らないようにします。万が一、噛まれてしまったら、傷口を氷や水などで冷やし、あれば抗ヒスタミン剤、ステロイド剤の入った軟膏など(ムヒ、レスタミン軟膏など)を塗ります。身体を安静にしておくことも忘れずに。 ムカデもヘビ同様、キャンプの朝など、テントの外に置いておいた靴の中などに入っていることもあるので、靴を履く前に中を確認しましょう。 |
ここに挙げた種以外にも、自然界には危険な生物(植物も)がたくさん存在しています。あまり神経質になり過ぎるのもよくないですが、中には非常に危険なものもいますので、可能な限り事前に知識を習得し、現地で慌てないようにしておきましょう。パニックになって冷静な判断をできなくなることほど危険はものはありません。
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