2005/6/9
◆子育て家族のアウトドア講座 第29回◆
「身近なフィールディング」
新緑が勢いよく伸び、庭や野山の花々も豊富で、生き物達が活発に動き始めた季節、多くの生き物達を自然観察するのに適したタイミングです。夏前の今は、生き物たちが最も活動しやすい季節です。こんな季節にこそ自然観察を楽しみたいものです。山奥に分け入らずとも様々な生き物たちと出会えます。それが難しいと感じるのは、身近な自然を意識していないからであって、人間がちょっと意識を持つだけで身近に活動している生き物たちの姿が次々に視野に入るようになります。その観察のポイントをいくつかご紹介しましょう。
【歩こう、自転車に乗ろう】
交通網の発達で人間の足は年々弱っていることはいろんなところで嘆かれていますが、爽やかなこの季節に歩いたり、自転車に乗ったりしないてはありません。そんな日常の移動速度をゆるめるだけで気持ちもゆったりしますし、身の回りの自然もより多く意識の中に入ってくるようになります。街路樹や民家の庭木にも野鳥などの姿が見つけられます。
【公園のクローバーを探せ】
都心の公園でもけっこう緑が豊かなのはご存知と思います。公園にはかなりの確率で芝生とクローバーが植えられています。クローバーはキリギリスなどの食事になるので格好の昆虫観察スポットです。せっかくだからクローバーの中に座り込んで探してみましょう。次のステップはタンポポです。これも昆虫の好きな植物です。ミツバチがせわしなく蜜を吸っている姿などが観察できます。
【神社の池を覗き込もう】
神社の池には、鯉や鮒ばかりではなく、野生の亀も多く生息しています。日本に昔から生息しているニホンイシガメやクサガメではなく、最近では北米から輸入されて帰化してしまったミドリガメことミシシッピアカミミガメの方が大勢力になっていますが、この季節一日中岸辺に上がって甲羅干しをしている姿を観察することができます。しかし、くれぐれも自宅で飼育しているミドリガメをその池に放ったりしないでくださいね。亀に続いて鯉や鮒の姿が見つけられるようになればステップアップです。
橋の上からはいろんな生き物が観察できます。上で紹介した亀はもちろんのこと、流れの中を泳ぐ鯉やボラなどの魚たち、水面で魚を狙うシラサギやゴイサギ、頭上にはユリカモメなどが観察できます。水質の綺麗な場所では、クレソンやセリ、ユキノシタなどの植物も見つけられます。橋の上というのは、通常、景色が開けている場所なので、周辺の地理を理解するのにも役立ちますね。
【公園のベンチで一休み】
都心でも公園にだけは緑が必ずあります。植物を中心にそこには自然がたくさん息づいています。植え込みの茂みの中にはシロハラなどの野鳥が、ベンチの周辺には踏んでも枯れない植物オオバコが生えています。芝生広場ではムクドリがせわしなく餌探しをしています。これを利用して子供たちと何種類の生き物が見つかるか、なんてゲームをしても楽しめます。
こんな簡単なところでいろんな自然観察ができます。少し自然の知識が増えてくると同じ場所で面白い植物や変わった昆虫にも出会えます。キャンプに行った先でも、自宅周辺ででも、親子で手をつないで歩き回ってみてください。自宅の庭やお隣の植え込みの中にも生き物たちは潜んでいます。