2006/2/9
◆子育て家族のアウトドア講座 第45回◆
「焚火の基本知識」
焚火はキャンプのメインイベントではないでしょうか? 大人たちは暖をとるだけでなく、見ているだけで素敵な時間を過ごせますし、子どもたちにとっては格好の遊び相手になります。
【ロケーション】
ダメなところを紹介すると草むらの中及びその付近、木のそばなどは火事になる危険性があるのでダメです。開けたところで水が簡単に調達できる場所が基本となります。もちろん燃やした後が目立たないように留意した場所選びが肝心ですし、地面で直接焚火ができないような場所では、市販の焚火台(アウトドアショップで購入可能)を使用して焚火を楽しみましょう。また、最も素人が陥りやすいミスが、テントサイトの風上側で焚火を行なってしまうこと。ちょいと指先に唾をつけて「風下はこっちだ」と呟きながら、さりげなく焚火をセッティングしましょう。
【火起こしの基本】
焚火は、火起こしの基本をマスターしていなければ楽しむことはできません。火起こしの大まかな流れは、まずファイアスターター(新聞紙、灯油を浸み込ませたオガクズ等)にマッチかライターで火を付け、小さな木、そして徐々に大きな木へと火を移していくのが基本です。この基本をおさえていれば、雨天の場合かよほど火付きの悪い木でない限り火起こしは成功します。問題なのはその後です。焚火は高温・空気(酸素)・木(燃える物)の3要素で成立しますので、最初、温度を上げるために薪は密着させておきます。そしてある程度炎が安定するまで、薪をどんどんくべる必要はありません。
炎が適度な大きさになったら、酸素供給のために空気の入る隙間を作ってあげます。これは薪の間隔を少し開けるということです。薪を密着させると高温を維持する効果はありますが、酸素が供給されないので、結果的には炎は小さくなってしまいます。また、逆にあまり空気を供給し過ぎると燃え過ぎて木を早く消耗してしまったり、温度が下がって消えてしまうこともあるので注意しましょう。これらの段取りは、体験の中から体得するしかありませんので、キャンプに行ったら焚火を楽しみましょう。
【ファイアスターター】
ファイアスターターは新聞紙の他にも、松ぼっくりや松の葉は非常に燃えやすいので、絶好のファイアスターターとなりますし、人工的なファイアスターターとしては、メタが筆頭に挙げられます。メタはアルコールを固体にしたもので、固形とゲル状のものがあり、どちらもアウトドアショップで安く売られています。固形のメタはガソリンや灯油ストーブのプレヒート用にもよく使用されます。焚火用にはチューブに入ったゲル状のメタが木に塗りつけられるので、使い易いです。また、オイルやロウを染み込ませた木のスティックやチップもあります。木片にロウやオイルを染み込ませて自作したファイアスターターをフィールドに持って行くのもよいですね。
ただし、人工のファイアスターターは非常用と考え、現地で調達できるものや新聞紙などのような基本的なものを用いた火起こしを、技術として身につけてもらいたいと思います。ファイアスターターはあるが、次の小さな木がないような場合は、ナイフで木をケバ立たせて燃えやすいように自分で加工してしまおう。こうすれば大きな木しかなくても火起こしをスムーズにこなすことができます。
【消火】
最後に焚火の消火ですが、これは3つの段階を実施してください。まずは燃えている薪やおき火を広げて焚火の温度を下げてやる、これである程度火が小さくなります。次に水をかける。これは赤い火やおき火が完全に見えなくなるまで十分な量の水をかけること。そして仕上げは焚火を完全に覆ってしまうくらいの土を被せて、その上から踏みつける。これで完璧な消火ができます。また周辺の石が熱くなっているといけないので、それらにも水をかけておくと、子どもたちが不用意にそれに触れて火傷を負う可能性も低くなります。
焚火はアウトドアにおける最高のエンターテイメントだと思います。暖をとる、料理を作る(火力は強力です)、という目的の他に、いつまで眺めていても飽きないという不思議な魅力を持っています(焼き芋もできるというオマケ付き)。アウトドアライフの基本を知る第一歩として、ぜひ焚火をマスターして欲しいと思います。