2014/6/16
◆子育て家族のアウトドア講座 第149回◆
「水の事故には要注意」
毎年繰り返されることですが、気温が上がり暑い季節になると日本各地で水の事故が発生します。現代の子供たちは、様々なアミューズメントの発達で学校やスイミングスクール以外の水域で泳いだことがないので、遊泳力が弱くなっています。さらには、大人も昔ほどプールや海で泳ぐ機会がないのではないでしょうか?子どもも溺れやすくなっているし、大人も溺れた子どもを助ける力が弱くなっているのが現実だと思います。
人間は、4分間心臓が止まったら意識が戻らないと言われています。それを考えると、例えば海辺や山の中の川で溺れてしまい心臓が止まってしまった子どもを助けて陸に上げたとしても、人工呼吸等で心臓の動きが戻らなければ、救急車が5分以内に到着することがほぼ不可能ですからまず助からないということになってしまいます。従って、溺れた子どもを助けるという心構えではなく、子どもを溺れされない心構えが必要だ、ということです。
たとえば、複数の家族でキャンプに行く場合は、周辺に水辺のないキャンプ場を選ぶという判断が必要だと思います。親が目を離した数分の間に赤ちゃんが溺死するという悲しい事故も毎年繰り返されています。極端な場合、3歳児くらいまでの小さい子は、自分の顔が浸かる10cmほどの水深の場所でもパニックになって溺れることがあります。
もし、水辺に遊びに行くならば、到着したらまず大人が水に入り、どのあたりが膝くらいの深さなのか、どのあたりが腰くらいの深さなのか事前に確認しましょう。そうすれば子どもたちの遊んでいる位置でおおよその深さがわかります。基本的に子どもは大人よりも浅い場所で溺れるわけですから、助ける側の心の準備もずいぶん変わってきます。ちなみに、流れのある場所では膝より深い場所だと人間は自由に動けず、流されてしまう可能性が高いものです。
水辺で遊ぶ子供たちには、溺れにくい、怪我をしにくい服装をさせてあげたいものです。足もとは、ビーチサンダルは滑りやすく脱げやすいですし、裸足だと怪我をしてしまうので、マリンブーツ等の滑りにくいシューズを履かせましょう。小さな子どもには、何もしなくても身体が浮き、顔が水面より高い位置にキープできるライフジャケットを着用させましょう。ライフジャケットは海外では当たり前の道具ですが、日本でもこれからの小さい子どもたちの水遊びには必須アイテムではないかと思います。
そして、大人たちは、子どもが水辺で遊んでいる時は、監視の目を怠らないこと。複数の家族で遊びに行き、子どもは子どもたちだけで遊び、大人は大人だけで昼間からアルコールを飲んで騒いでいるような集団を時々見かけます。子どもたちが水に入って遊んでいる時に、大人がアルコールなんてもってのほかです。わが子が溺れたら誰が助けるのでしょう?
万が一に備えて、交代で監視役をするなど、子どもの安全には大人が気を配りましょう。
また、カヌーに乗る時によく使われるスローバッグ(スローロープなどども言う)という投げやすく加工されたレスキュー用のロープが市販されているので、集団で水遊びをする場合には、そういうものを準備しておくのも保険になります。
最後に、水の事故の危険ポイントを列挙しおきます。
・子どもに水辺は危険な場所
・服が原因でトラブルになる
・池や川だと藻や水草が絡みつくことがある
・溺れたときの恐怖とパニックは心構えではどうにもならない
・溺れている人を助けに行き二重事故、溺れた人を助けたことがあるの?
・浜辺の離岸流には要注意
・親がちょっと目を離したことで事故は起こる
・ジェットスキーとの人身事故
・水底の石やガラス片を踏んで大怪我
・ライフジャケットをつけていなかった
・水辺の近くでキャンプしていた
・お酒を飲んでいた