【こそだて】のアンケート結果でも、パパに担当して欲しいことの1位は遊び相手。アメリカでは、父親の役目は男の子にキャッチボールを教える事だ、と言われたりする。他にもパパだからこその遊びや、ママにはできない・負担になる遊びもある。子どもと積極的に遊んで、カッコ良いパパ・大好きなパパになろう!
カヌー
<子供と一緒に水澄ましになろう(親子カヌーのススメ)> Text by Hidenori Nagatomo
ある晴れた休日の湖・・・。
目を閉じて想像してみて欲しい。耳を澄ませばパドルが水を掻く音と空高くから聞こえる鳶の声、そして時折近くではねる小魚が水を叩く音。息子はフォールディングタイプカヤックの前席で指を水につけながら周囲の景色に見とれている。目的地は特にない。ただ、静かな水の上を静かに漂い、五感をフルに活用して自然の声を、匂いを、手触りを楽しむ。
やがて、自分の見聞きした楽しい美しい世界を伝えようと、息子が遠くの岸にいるママのところへ行こう、と私を促す。ママの姿が見えると大きな声でママを呼ぶその声がまるで水の上をすべる様に周囲に広がっていく。帰り道は全力でカヤックに推力を与え、親子で歓声を上げながらかなりのスピードでママを目指す。レーシングタイプではないとはいえ、カヤックのスピードはなかなかのもの。豆粒のようだったママの姿が見る見る近づき、岸にたどり着く。
岸に上がった息子は、お昼ご飯のおにぎりをほおばりながら、湖の中央の無人島で出会った青大将がいかに大きかったか、湖の岸と中心では水面の温度がどの程度違ったか、すれ違ったカナディアンカヌーの家族がいかに笑顔だったか、など等矢継ぎ早にママに話す。
一通り話し終えると、まだ腹八分目にもなっていないパパを、早くまた出航しようと急かす。
今日もよく日焼けしそうだ・・・。
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・・・こんな休日、自前のカヤックさえあれば、毎週堪能可能です。 週末のたびに子供と水澄ましになってみませんか。
【カヌーあれこれ】
「カヌー」と一言で言っても、ダブルブレードパドル(柄の両側に水かきのついたパドル)で激流を下るポリカーボネート製のスポーツカヤックから、シングルブレードパドル(柄の片側にのみ水かきのついたパドル)で操るオープンデッキのカナディアンカヌーまでとその形状だけを取ってみても幅広く、構造も木製やポリカーボネート製ではじめから組み立て済のものから、ゴムボートのように空気を入れて膨らませるインフレータブルタイプ、そして、テントを張るように骨組みにクロスを張って組み立てるフォールディングタイプがあります。
SUVのルーフに大きなカナディアンカヌーを積んで山奥の湖を目指すのも「相当カッコいい」ですが、私のように「そんな舟を保管しておく場所はない!」等さまざまな理由からそれが難しいパパ達には是非ともお勧めしたいのがフォールディングタイプのカヤックです。
フォールディングタイプカヤックは、折り畳むとセダンのトランクにも収容可能なサイズになります。マンションなどでも保管しやすく、日本の住宅事情にも合致しており、さらに多くのモデルが数日間のツーリングキャンプにも対応可能な本格的な作りとなっています。
まさに、のめりこむと本格的な仕様を求めだす、少年の心を持つパパ達にぴったりです。
【カヌー遊びに必要なもの】
- 好みのタイプの舟・・・ インフレータブルタイプの簡易カヌーであれば、ホームセンターでも1万円台から購入可能ですが、ここは質の高い遊びを中長期的に確保する為、信頼の置けるメーカーの製品を選びたいところです。入門艇としてはモンベルのアリュート380T(実売価格15万円程度)がお勧め。
- パドル・・・ 一万円程度で十分質のよいものが手に入ります。
- ライフジャケット・・・ 子供用は身長80センチくらいから用意されています。スポーツ洋品店で入手できない場合、近所の釣具屋さんを除いてみると見つかったりもします。大人用のものと併せても一万円程度から揃える事ができます。
- わくわくどきどきの冒険心・・・ pricelessでどこにも売っていませんがマストアイテムです。
【カヌー遊びのフィールド】
基本的に立ち入り禁止札のない河川・湖沼であればどこでもフィールドとなりえますが、ここでは関東地方近辺のお勧めスポットをいくつか紹介します。
ちょっと足を伸ばして・・・
- 亀山湖(千葉県)・・・ カヌーでしか行けない「文宝洞」は一度見たら忘れません。
- 富士五湖・・・ 中でも初心者には比較的規模が小さく、人の少ない精進湖がお勧め。子供と一緒に富士山を眺めながら水澄ましになれます。
- 那珂川(茨城県)・・・ 関東地方最後の清流でカヌー遊びのメッカ。2〜3時間ほどで下り終えるコースから、5時間以上かかる本格的なコースまで、予定にあわせた遊び方ができます。
探してみれば家のそばにもあったあった
- 江戸川放水路(千葉県)・・・ 少し足を伸ばせば東京湾に残る干潟「三番瀬」もすぐです。
- 印旛沼(千葉県)・・・ 風車小屋を見ながらのツーリング。ここはまるでオランダ?
【うーん、いきなり購入はちょっと・・・というあなたへ】
そうはいっても、いきなり10万円以上もする装備を買い込むのはちょっと・・・というパパ達には、まず親子でカヌーツーリング教室(Be-palなどのアウトドア雑誌に掲載されています。教室開催に経験の深い信頼できる業者を選びましょう)に参加し、その楽しさ、爽快感を味わってみるのをお勧めします。
長友英哲 (ファザーリングジャパン)
長友さんのホームページ bob’s space https://www.bobsspace.net