気温が26度を超えるころから、次第に「虫さされ」で小児科を受診するお子さんが増えてきます。「虫さされくらいで小児科まで受診するの?」と思う方もいるかもしれませんが、未就学児は甘く考えない方がよいでしょう。また、虫さされからトビヒになって大変な思いをしたママやパパもいるかも知れません。
今回は「ケアって必要?子どもの虫さされ」と題して、「こそだて」と「医療」の両方の目線で「虫さされ」のお話です。
◆大人と子どもはちがう?虫さされの種類
虫さされの種類は2つあります。一つは「即時型」と呼ばれる反応で、刺されてすぐにかゆくなり、数時間程度で治まっていくもの。もう一つは「遅延型」と呼ばれる反応で、刺されて数時間~翌日にかけてかゆくなり、長い場合は2週間ほど断続的にぶり返すものです。蚊に刺されたとき、未就学児のお子さんのほとんどが「遅延型」の反応を示します。繰り返し蚊に刺されることによって、体に抵抗力が生まれ小学生くらいから「即時型」に変化していくのが一般的です。
(※もちろん、体質によっては大人になっても「遅延型」の反応を示す人もいます)
つまり、大人にとってはすぐに痒みが治まる「ちょっとした虫さされ」でも、子どもにとっては2週間も続く「しつこく続く虫さされ」であると知っておきましょう。
◆予防はどうしたらイイの?
虫さされの予防は大きく3つ。①肌の露出をなるべく防ぐ。②虫が多い時間帯や場所をなるべく避ける。③虫よけグッズ(シールやスプレー)を使う。となります。
しかし、熱い季節に長袖や長ズボンで重装備をするとあせもの原因になったり、熱を閉じ込める原因になったりするので、なるべくは避けたいと思うのが親の気持ち。また、虫が多い時間帯(6時~9時・16時~19時)を避ける事ばかり考えていると、最も紫外線の多い時間帯(10時~14時)に外出することになります。何事もバランスが大切なので、①や②に関しては、あまり神経質になりすぎないように注意しましょう。
また、③の虫よけのシールやスプレーは購入する薬局などで確認して、お子さんにも使える安全な成分で作られた物を使うようにしましょう。
◆虫さされのケアって必要なの?
どれだけ予防しても、虫さされを100%防ぐことは不可能です。大切なのは起きてしまった虫さされの対処です。基本的には①患部を冷やす。②かゆみ止めや炎症止めなどの薬を塗る。③掻きやぶらないように注意する。という3つの対処法になります。
特に②の薬に関してですが、大人は即時型(すぐにかゆくなる)タイプなので、抗ヒスタミン剤の入った痒み止めを使うのが良いですが、子ども達は遅延型(後から痒みや炎症がでる)タイプがほとんどなので、ステロイドなど炎症を抑える作用のある薬を使った方が効果的です。また、腫れがひどい場合や、掻きやぶって化膿してしまった場合は小児科を受診した方が良いでしょう。その部位に菌が感染すると「とびひ」になる可能性が十分にあります。
実際に、小児医療の現場では毎年のように「虫さされ」から「とびひ」になるお子さんに出会います。「もっと早く治療しておけばこんなにひどくならないのに…!」と、いつも残念に思います。
せっかくの夏を楽しく過ごす為にも、虫さされに対する基礎知識をしっかり身につけておくことは重要です。「大人と子どもは反応が出るまでの時間が違う」と知っているだけでも、イザと言う時にアタフタせずに済むと思います。
パパ薬剤師 中村守男(メディカルパパ)