私は“完璧な母”を目指していないんです。「離乳食は全て手作り」とか聞くと「えらいな~」と思うけど、私には無理。いい母を目指して目くじら立てるより、家事を手抜きしちゃっても、子どもが好きな“笑っているお母さん”の方がいいなと思います。
子どもが夜泣きしていても、気づかずに寝ていることもありました。主人に「昨日も夜泣きしてたね~」なんて言われたり。そんな時は、主人があやしてくれてました(笑)。
「泣くのは赤ちゃんの仕事。泣いて肺活量も鍛えられているんだ」って思えば、泣かれるのもそんなにつらくない。生まれたばかりの頃の2時間おきの授乳も大変だったけれど、「長い人生の間の今だけのこと」と思ってがんばりました。
妊婦さんの頃は、ぺたんこの靴を履いていたので、「ピンヒールを履いて、小さなバッグ持って出かけたい!」っていうのが願望に。出産して10日目くらいのときに、おばあちゃんに赤ちゃんを見ていてもらって、授乳の間の2時間で、主人とラーメン屋さんに、ピンヒールを履いて、小さなバッグ持って出かけました。そんなささいなことでも、がまんせずにやってみると、とってもうれしかったし、気分転換になりました。
私自身、娘に親にしてもらっているところがありますね。「子どもは親を選んで生まれてきている」って聞いたことがありますが、本当にそうかも。子どもの方がしっかりしています。「イチゴ買ってくるね」って出かけたのに、買うのを忘れて帰ると「しょうがないね。そんな日もあるよ」って、娘になぐさめられます(笑)。
娘が生まれたことで、仕事に対する考え方もとてもシンプルになりました。一番大事なのは子どもや家族。それを基準に考えると今やるべき仕事と、ちょっと先でもできる仕事が見えてきます。やるべき仕事は一生懸命にやる。メリハリがついて仕事に向かう姿勢もよくなったような気がします。仕事の楽しさを教えてくれたのも娘かもしれません。
もうすぐ2人目が生まれるので、今は親子3人の時間を楽しんでいるところ。3人の時間は、赤ちゃんが生まれる前だけのものだから。娘との時間、おなかにいる赤ちゃんとの時間、それぞれとても貴重に感じます。
撮影/福田依子 取材・文/高祖常子