お金がかかるから子どもが産めないなんて、ちょっとへんだと思いませんか?「ちょっとした家計のやりくりで、子育てはできる!」とおっしゃる3児の母でもあるファイナンシャルプランナー畠中雅子さんにお話をうかがいました。
畠中雅子さん
大学時代よりフリーライター活動を始め、長女を出産した翌年の1992 年にファイナンシャルプランナーに。現在は「子どもにかけるお金を考える会」代表のほか、新聞や雑誌の連載、セミナー講師や金融機関へのコ
ンサルティング業務などを行う。著書に『なぜかいつも幸せな人のお金のルール』(幻冬舎)ほか。3児の母。
「子育てにまつわるお金の話は、膨大な金額ばかりが一人歩きしてしまっている感もあります。“そんなにかかるのでは子どもを産めない”“二人目はあきらめよう”などと、感じてしまう人もいるようですが、実際には子育てに役立つ助成金や制度もありますし、二人子どもがいると倍額かかるわけでもありません。家計の中でなんとかやっていけるものです。
そもそも“子育てにいくらかかるから、いくら稼がなくてはならない”という考えが本末転倒。年収の中で子育てをしていくのが基本です。まずは、子育てにかけるお金の考え方から見直してみましょう。
子どもの進路についても、家計に見通しが立たないのに、幼稚園や小・中学校から受験させると、入学後に家計が苦しくなって、通うこと自体、継続できなくなってしまうことにもなりかねません。“年収の中でまかなえる進学”を考えましょう」。と畠中さん。“わが家の年収から考えればいいのか”と、そもそも論からハッとさせられます。
子どもにかかる教育費は、表1の通り。給食を含めた学校教育費は、公立小学校で年間で9万7555円、公立中学校で年間17万5472円です。こう聞けばなんとかなりそうですね。高校も、公立では2010年度から授業料が無償化され、いままでより学校費用が安くなっています。
「公立高校無償化と言われていますが、これは授業料が無料ということ。入学金や教科書代、制服費用などは今まで通りかかりますから、準備金が必要です。それでも所得の上限なしに授業料が無償化されるのはうれしいことです」。
国立・私立に通う生徒の授業料負担を軽くする「高等学校等就学支援金制度(次ページコラム❸)」もあり、申請をすると、公立以外の学校でも同額分の授業料(年間11万8800円分※350万円以下の所得の場合は増額)が安くなります。
「このように、高校までの学費は年収の中でまかなうのが基本。先々のことを考えて貯蓄を必要とするのは、大学だけです。これは、子どもが生まれたらすぐに“こども保険”への加入を検討するといいでしょう。早ければ早いほど、月々の負担額も少なくてすみます。契約商品にもよりますが、0歳からなら月々8000円台で200万円の大学進学費を貯めることができます。
このとき注意したいのが、保険満期時期。一般の受験の受験費や入学資金として使うなら1月頃、推薦入試を狙うなら、11月頃に満期を迎えられる方がいいなど、考えてみましょう。
※文部科学省「平成20年度子どもの学習費調査」❶と独立行政法人日本学生支援機構「平成20年度学生生活費調査」❷をもとに計算。
※高校の学校教育費は、公立高校授業料無償化、高等学校等就学支援金制度として、今回は11万8800円引いたもの。
2011年冬号の掲載記事です。
取材・文/山田治奈