自然の中で遊ぼう!
季節を肌で感じるって、すてきなことですね。せっかく四季のある日本に生まれたんですから、子ども達にも存分に感じさせてあげたいものです。春の訪れを親子で感じてみませんか?
あたたかな春の陽ざしの中、今回は、「春を探し隊」として、3組の親子と春の花探しをしてきました。みつけた花は押し花にして、部屋に飾る計画です。
「自然遊びは、文字通り五感を刺激してくれるもの。
例えば、だんご虫やちょうちょを触ったときに伝わる繊細な手の感触や、ずしんと感じる石の重み、土や草花の匂いなど、触覚や嗅覚を使って体験できることがたくさんあるからです。視覚と聴覚はテレビを見たりゲーム機で遊んだりすることでも使いますが、触覚と嗅覚は直接的な経験でしか感じられません。」と話してくれるのは、環境教育で知られる岐阜大学教育学部の今村光章准教授。行事型の「ぎふ☆森のようちえん」代表でもいらっしゃいます。
「森のようちえん」とは、デンマーク発祥の自然環境を利用した子育て支援活動です。もともとたった一人のお母さんの子育てに対する熱い思いから始まった保育方針が、多くの共感を得て世界に広まったもの。受動的に何かをこなすのではなく、自然遊びを通じて自分の興味や関心を動機として、子どもを積極的・能動的に動けるようにしてあげたいという思いです。
最初に教えてもらったネイチャーゲームは、色合わせシートを使った「色探し」。色のカードを作って、自然の中からその色を探すというものです。
シンプルな遊びなのに「さぁ、見つけに行くぞ~!」と、とにかく盛り上がります。みんな走って色探しに散っていきました。しばらくすると「同じ緑だけど、ちょっと違うね」という声が聞こえてきます。
そう、今回気付いてもらいたかったのは、まさにそのことです。毎日過ごす生活の中で、色を表す言葉は限られています。でも色には微妙な違いがあって、言葉では表しきれないものもあります。緑とも青とも言えない色、新緑の緑もあれば深くよどんだような緑もあります。大人に教えてもらうのではなく、子どもたちは自分で気付いていきます。
色探しをしながらも、触覚と嗅覚のアンテナもビンビンです。葉の表面のツルツル、ザラザラの違いや、青臭い匂い……。
「子どもたちは、スーパーで初めて見る野菜に興味を持っても“商品だから触っちゃいけません”と制限されます。興味を持っても、体験にしにくい生活環境の中で暮らしているのです。それが自然遊びの中でなら、存分に体験させることができます」と今村先生。
さまざまな感覚機能が一番豊かな幼児期に、しっかり感じさせてあげることは、その後の成長の上でもとても大事な土台となります。
撮影/長尾浩之 取材・文/山田じな