子どもと一緒にトライ!
保育園や幼稚園に入園するなど、春は環境やタイムスケジュールが変わるご家庭も多いのではないでしょうか。早寝・早起きを心がけ、生活リズムを整えると、子どもの成長にもいい効果が生まれます。子どもの生活リズムと脳の発達について、成田奈緒子先生にお話を伺いました。
成田奈緒子先生
文教大学教育学部教授。小児科専門医。子どもの発育から見た正しい脳の育て方を研究。文部科学省などと連携し、子どもの生活習慣の確立に尽力している。著書に『早起きリズムで脳を育てる』(芽生え社)ほか。「子供の早起きをすすめる会」の活動も行っている。 http://kosodatekagaku.com/
「子どもが夜なかなか寝てくれない」「規則正しい生活リズムが作れない」と悩むママは多いもの。遅く帰ったパパと遊んでしまったり、家事や育児、仕事に追われ、ママやパパが夜遅くまで起きていると、子どもの生活も夜型傾向になりがちです。
年齢によって成長に必要な睡眠時間は、大まかに0歳児で14~15時間、1歳児で14時間、2歳児で13時間半、3歳児で12時間、4歳児で11時間半が理想と言われています。
でも実際は、多くの子どもたちの就寝時刻は午後10時過ぎ。十分に睡眠がとれていないのが現状です。
遅寝の子どもは眠りが浅く、前日の疲れや神経がリセットされません。朝から機嫌が悪く、日中も活動する元気がない、ぐずることが多いなど、 扱いづらくなりがちで、ママもストレスを感じてしまいます。
「寝る子は育つ」の言葉通り、脳や体に必要なホルモンは、夜眠っている間に分泌されます。特に乳幼児期は、心や体の成長の基盤となる脳が作られる最も大事な時期ですから、このホルモンがきちんと分泌されるよう、早寝早起きして、規則正しく生活することが大切です。
人の脳ができあがるには段階があり、まずはじめに生きる力の土台、“命の基盤の脳(脳幹と大脳辺縁系)” が作られます。この脳は、呼吸、心拍、体温、睡眠、食欲などをつかさどっています。
その土台の脳ができたうえに、思考、計算、記憶、言語などの習得、細やかな運動機能、情感の表現など、人間らしい高度な機能を担う“理性の脳(大脳皮質)”が形成されます。
最近は子どもの早期教育に熱心な傾向がみられますが、脳の正しい発達という意味では非効率。基盤の脳がしっかり育たないうちに、学習にばかり力を入れると、心と体の根幹がアンバランスな状態になる傾向があります。成長していくと、感情のコントロールができずにキレやすかったり、心が不安定で傷つきやすかったり、不登校やひきこもりになりやすいとも言われています。
脳の基盤がしっかりできると、体力、知力、気力ともに、トータルにバランスのとれた理性の脳が育まれていきます。成長と共にさまざまなことを習得し、能力を伸ばしていけるよう、幼児期には生きる力の土台となる脳をしっかり作りましょう。
生活リズムが安定すると、寝ている間のホルモンの分泌が促され、脳が発達していきます。
イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子