子どもも親も、いっしょに成長!
このイヤイヤ期、親は子どもとどう向き合っていけばよいのでしょうか。大切な事はふたつあります。
一つ目は、子どもの思いに耳を傾け、共感すること、そして親の思いや、行動のよしあしの枠組みを伝えること。例えば、食事の時間、子どもが食べるのを嫌がり「テレビを見たい」とだだをこね出したら、「あなたはテレビを見たいのよね」と認めつつも、「でも、テレビを見ながらだと、ご飯をおいしく食べられないとママは思うよ」など、お互いの思いを言葉で伝え合うのです。
時には、言えば言うほど拒否反応が強くなり、ひっくり返って泣きわめく事もあるでしょう。親も途方にくれてしまいますが、こんな時は、子どもも途方にくれているのです。子どもがクールダウンするのを待ち、落ち着いてから「さっきは○○だったね」と振り返って気持ちを整理してあげましょう。
こうしたやりとりを根気良く続けることで、自分の思いを伝えたり、相手の思いを考えたり、相手と折り合いをつけたりする力が少しずつ育まれていくものです。
二つ目は、イヤイヤ期という子どものエネルギーがあふれ出てくる時期だからこそ、子ども自身が自分の手先や体を動かすことで、エネルギーを発散する機会をつくってあげること。
着替えや靴の着脱など、身の回りのことをじっくりやらせてみることも、そのひとつです。子どもが自分で脱ぎ着できるようなものを用意してあげましょう。
また、サラダを作る時にレタスをちぎってもらうなど、手先を使う簡単なお手伝いや、全身を思い切り使う遊びをさせるのもよいと思います。そうすることで、「もっとやってみたい!」「次はこうして遊ぼう!」という意欲や自信を育むことができます。
手先も少しずつ器用になってきて「自分で食べたい」という気持ちが芽生え、はいはいやつかまり立ちなど体の発達がめざましいのもこの時期です。
ママは、こぼされないように、ママの思い通りに食べさせようとするのではなく、手づかみで子どもが自分で食べられる工夫をしてあげましょう。
親にとっては大変なイヤイヤ期ですが、見方を変えると、“その子らしさが出てくる時期”でもあるのです。子どものイヤイヤに遭遇したら、「ああ、この子にはこんなところがあったんだ。こんな気持ちや表現をするんだな」と、わが子の個性を感じ、やりとりを楽しみましょう。この時期にしっかり向き合うことで、子どもも、親も、一緒に成長していかれると思います。
離乳食期、親に食べさせられるのをいやがり、自分で持った食べ物を手でぐちゃぐちゃ。どう対応すべき?
離乳食期のこの経験は、子どもの手の感覚を育てるもの。食べ物の固さや温かさを感じながらしっかりさわって食べる事は、「自分で食べたい」という意欲につながります。食べ物を口に運んでいるうちは多少目をつぶり、食べ物で遊ぶようであれば「おなかいっぱい」というサインととらえ、食事を切り上げましょう。
「靴をはきなさい」と言うと、「イヤ!」と言われます。外に行くのは好きなのに。
外に行くのがイヤとか、靴をはくこと自体がイヤということではなく、指示されること自体が「イヤ」という意思表示です。そんな時には、「どっちの靴をはく?」と選ばせてみてはいかがでしょう。自分の意思で選べると、意外とすんなり靴をはいてくれることもあります。
子どものイヤイヤがひどくて、きつく叱り過ぎてしまった。そんな時はどうすればいい?
親が子どもに対して生の感情を出すことがあるのは当たり前。叱り過ぎたと思ったら、子どもと少し距離を置き、自分の気持ちがクールダウンしてから「さっきはごめんね」とあやまって仲直りをしましょう。感情を出しすぎて子どもとぎくしゃくしてしまっても、子どもを大切に思っていることが伝われば、その修復は十分可能です。
イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ