寝る時間が遅いのはいけないの?睡眠不足が赤ちゃんに与える影響は?
夜、なかなか寝ない。夜泣きをする、昼寝をしない……。子どもたちの眠りについて悩むパパやママが増えています。早寝早起きが大事だとわかってはいても、でもなかなかできないという声をよく聞きます。小児科医で「子どもの早起きをすすめる会」の発起人である星野恭子先生に、お話しを伺いました。
妊娠中、ママのおなかの中にいた赤ちゃんは、生まれてきてから初めて太陽の光を浴びて、地球のリズムを体験します。人間は、生まれつき、夜に寝て昼間起きるという遺伝子の仕組みを持っていますが、生まれてすぐに24時間の睡眠リズムにはなりません。2~3カ月かけてゆっくりと、昼間起きている地球のリズムに適応していきます。
24時間のリズムを作っていくのが、「太陽の光」と「昼間の刺激」です。赤ちゃんには、睡眠のリズムをしっかり教えてあげる必要があり、それを教えてあげるのはパパ・ママの役目です。
赤ちゃんは、地球のリズムになじむのに、だいぶ時間がかかります。最初の1~2カ月は、3時間おきに寝たり起きたり、寝ていたい時に寝て、起きたい時に起きるの繰り返し。3~4カ月を過ぎたころにやっと、母乳やミルクの間隔も開き、夜もある程度まとまって眠るリズムがついてきます。昼夜区別がなく、ママが眠くてつらい生活も少し落ち着くでしょう。
親が早寝早起きをしている赤ちゃんの方が、早く早起きのリズムがつくというデータがあります。ママは、産後で大変な時期ですが、早いうちに自分自身が早寝早起きのリズムを整えると、ママにとっても赤ちゃんにとってもラクになると言えるでしょう。
●幼児期の眠りのリズムを作るポイント
1.朝起こしたら、カーテンを開けて、朝日を浴びる。
2.朝ごはんをしっかり食べさせる。
3.日中は、外や集団でしっかり遊ぶ。
4.お昼寝は長時間、夕方まで寝かせない。1時間半程度で起こす。
5.夜テレビを見るときは、時間を決めて。
6.夜9時頃までには寝かせられるように、その前から眠りにつく準備を。
赤ちゃんの早寝早起きはそう簡単には身に付きません。赤ちゃんは地球のリズムに合わせていこうとしていますが、同時に脳も体もグングン発達していきます。特に脳の発達が目覚ましい時期。首も座らなかった赤ちゃんが、一年もすれば歩き、言葉がわかるようになるのですから。こんなに目覚ましく発達している脳は、昼間の刺激をどんどん吸収していますが、実は、眠っている間も、睡眠の質が発達しているのです。
赤ちゃんの睡眠リズムは、脳の発達に関連する脳神経と、血圧や心拍などを調整する自律神経系の正常な発達に必要です。2000年に夜22以降に眠る乳幼児の割合は6割を超えていましたが、その後、文部科学省を中心とした「早寝早起き朝ごはん」の取り組みの成果もあり、2010年には約3割となりました。それでもまだ3割の子どもたちが夜更かしです。睡眠不足の1歳の赤ちゃんは、指さしや喃語が少ない、5歳児は三角形が書けなかったり、社会性・情緒の問題が出てくるなどの健康被害も報告されています。
夜泣きがあっても、赤ちゃんのリズムがずれていても、生後3カ月を過ぎたら、ママがまず早寝早起きのリズムを作っていきましょう。そして、そのリズムに赤ちゃんを合わせてあげましょう。そのためには、夜のテレビやネットやスマホは要注意です。これを機に、パパの生活リズムも見直し、一緒に睡眠について考えられるといいですね。
寝る時間に、テレビをつけて、照明がこうこうと明るければ、子どももなかなか眠りにつけません。寝る前に静かに絵本を読むなど、眠りに入りやすいような環境作りを心がけましょう。
早寝早起きのリズムは、一生の宝物。大人の生活を工夫して、子どもたちの早寝早起き習慣を作ってあげてくださいね。
イラスト/サカモトアキコ 取材・文/椹寛子