わが子の成長を“楽しむ”感覚で足を運びたい
健診当日は、ある程度時間に余裕をもち、授乳や昼寝の時間を考慮に入れながら赤ちゃんが機嫌のよい時間帯に健診を受けられるよう準備を整えておくと安心です。
せきや鼻水が少し出ているくらいで普段と様子が変わらないようであれば受診してもOK。でも、熱がある、発疹があるなどの場合は、周りの子への感染予防のためにも無理をさせず、予定受診日以降の日程を聞いて、次回受けるようにしましょう。
健診の際は、案内状に書かれた物に加えて、母子手帳、着替え、オムツ&おしりふき2〜3枚、ミルクなど授乳の際に必要なものや飲み物、待ち時間に機嫌良く過ごせるようなお気に入りの絵本やおもちゃなどを持参しましょう。荷物は一つにまとめて両手があくように、ショルダーバックなどにまとめて入れると便利です。当日忘れ物がないよう前もってチェックしておきましょう。母乳の場合は会場に授乳室があるかを確認し、ない場合は授乳ケープを準備しておくと安心です。
万全に準備を整えて行っても、会場で待たされたり場所見知りをしてしまったりして、順番が回ってきたときに泣いたりぐずったりしてしまう赤ちゃんも少なくありません。
その時は、医師が家庭での普段の様子などを聞きながら診断しますので、ママは「迷惑をおかけして申し訳ありません」などと思わず、ゆったりとした態度で臨みましょう。
たとえば3〜4カ月健診のときに、医師からみてその赤ちゃんの首すわりが遅い場合、「経過観察」という診断を下すことがあります。この「経過観察」というのは、「その時点で基準をクリアしていないので、時間を改めてもう一度専門の先生に診てもらい、問題のないことを
確認しましょう」という意味。「どこかに問題がある」ということではありません。
大切なことは、首すわりやつかまり立ちなどの運動機能、目や耳などの感覚器官、周囲への関心などの精神機能などが、月齢に応じて総合的にバランスよく発達しているかどうかです。そのことを見極めるための経過観察なので、むやみに心配することなく、指示された次の検診を受けてください。必要があれば専門の医師が診察し、精密検査の指示や家庭での過ごし方の指導が行われます。それまでは、あまり心配せず、普段どおりの生活を続けましょう。
乳幼児健診には、集団健診と個別健診の2種類あるとお話しましたが、集団健診の場合は小児科医だけでなく、予防に重点を置いて健康管理の指導をする保健師、健康な食生活のアドバイザーである栄養士、心や発達の問題に取り組む心理士などたくさんの専門家がいます。個別に相談を受けることが多いので、「こんなこと聞いたら笑われるのではないか」などと思わず、心配なことや不安なことがあったらどんどん質問しましょう。個別健診は、かかりつけの小児科の先生とじっくり話しをするチャンスです。
それぞれ特徴の異なる健診のよいところを使いわけ、聞きたいことをあらかじめメモにまとめて臨みましょう。
準備も大変で当日も何かと慌ただしい乳幼児健診ですが、同じ月齢の子が集まる場でもあります。同じ産院だったママと再会したり、散歩途中でよく見かける近所のママと会うこともあるでしょう。わが子の健やかな成長を確認するだけでなく、“新しい出会いの場”としてとらえ、 “健診を楽しむ”感覚で足を運んでみましょう。
里帰りしている場合、里帰り先でも受けられるの?
里帰り先の市町村で乳幼児健診を受ける場合は、住民票のある現在の住まいの保健センターが、里帰り先の市町村あてに文書で依頼をする必要があります。まずはお住まいの地域の保健センターに連絡し、そのような手続きが可能か確認しましょう。
子どもの病気は診てもらえますか?
乳幼児健診は、子どもの成長を保護者の方と確認し、発達や育児などについての相談を受け付ける場です。一般の医療機関で受診するように、風邪など体調が悪いところを診察する場ではありません。体調が悪い場合は、改めて小児科に足を運びましょう。
ママ自身の悩みを相談してもいいの?
地域の保健所には保健師さんが常駐していることが多いもの。ちょっとした育児の不安だけでなく、ママ自身の悩みも聞いてくれます。健診の日以外でも電話で相談したり、事前予約すれば相談に応じてくることもあります。顔見知りの保健師さんが見つかると心強いもの。遠慮せずに相談しましょう。
会場におやつを持っていってもいいの?
健診によっては、歯科健診と合わせて行う場合もありますので、なるべくなら避けたいものです。待ち時間が長くなるような場合は、持参してもかまいませんが、健診が終わってから食べさせること、他の子の前で食べさせないなどを心がけて。
イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ