仲間とシェアする、ひとつのものを作り上げる気持ちを育む
小学校で「表現リズム遊び」や「リズムダンス」が必修となったことも影響して、リズム遊びに注目が集まっています。リズム遊びは、道具を与えればいいものではなく、大人も一緒にリズムを感じながら楽しむことで、子どもも体の中からリズムを感じられるようになります。親子のリズム遊びのヒントにしてくださいね。
つの犬(角田健)さん
中学生の時に自分でドラムを買い、高校時代にはビッグバンド所属、1984年角田健の名でライブデビューし、91年つの犬と改名。つのだ☆ひろを始めとする角田ファミリーの一人。現在「渋さ知らず」「fuse」「スターレーンズ」「むら犬」他、多数のバンドに所属し、音楽のジャンルをまたいで活動している。同時に「ドラムサークル」の開発者である国際的に著名なアーサー・ハルから直接指導を受け、ファシリテーターとして保育園などで教えている。
「ドラムサークル」って知ってますか? いろいろな打楽器を使った即興演奏で、その目的は演奏の成否ではなく、参加者のシェア体験、音を楽しいと感じること。即興だから音楽経験のない子どもでも遊べ、上手い下手関係なく楽しめます。 今回「リズム遊びし隊」として集まってくれたミク読者は、6家族。
さっそく、「ドラムサークル」の語源にある「サークル(輪)」を作ってみると、つの犬先生が「じゃぁ、みんなで手をつないで!」とおっしゃいます。あれ? 楽器は使わないの?
「ドラムサークルの基本は相手を感じ、反応すること。人とつながること。もちろん楽器も使いますが、楽器がなくても、手拍子や足踏みでもリズム遊びはできます」と、つの犬先生。
手を上げ下げするウェーブ遊びでみんながつながっていることを実感した後、「手信号回し」。隣の人から手をギュっと握られたら、反対側の人の手を握って信号を送ります。輪になっているので、この手信号がぐるぐると輪を回ります。静かにしていないと合図を逃してしまうので、みんなが心をひとつにして、手信号に集中。なんだかみんなの鼓動を感じるような遊びです。
「命、という字には叩くという文字が入っているんですよ」と教えてくれた、つの犬先生。それは人々の「仕事」や「祭り」といった命の営みは「叩く」事や「良いリズム」が必要不可欠だったからかもしれない……と想像が膨らみます。
輪になって両隣の人と手をつなぎます。誰かが信号発信者となって、片手をギュッとにぎります。手をにぎられた人は、反対側の手をギュッと握って、手信号を送ります。輪の中を手信号がぐるぐるまわるのをお互いに感じあうあそびで、リズムあそびの基本となる相手を感じ、反応することの練習にもなります。言葉がなくてもコミュニケーションをとれるのが、リズム遊びや音楽の魅力ですね。
一人ひとつずつ、片手に楽器を持ち、「ラッキー♪」と全員で言いながら両手で楽器を軽くたたき、次に「ついてるね」と言いながら時計回りなら左手で、反対回りなら右手で隣の人に渡します。スター時点では全員が楽器をもっているので、同時に隣の人から楽器を受け取ります。楽器を落としてもそのまま拾わず、かわりに隣の人の手をたたきます。楽器がどんどん減るスリル! 徐々にテンポを!あげると結構難しい。
リズム遊びは、ただ子ども達にやらせるのではなく、パパ&ママも一緒になって楽しむことが大切。いろいろなリズムのパターンも身に付きますし、なにより言葉がなくとも反応し合ってリズムで答えるコミュニケーションが、音楽のベースとなって楽しさを増していきます。
サークルの中央でひとりが風船をもち、誰か一人を風船で指します。指された人は、次に風船を飛ばしたい人に向かって視線を送りながら、打楽器をならします。打楽器を使わずに、体をパーカッションにしても楽しめます。小さなお子さんで、次の人を指すのが難しければ、中央にいる人に風船で次々に誰かを指名してもOK。
○○に名前や季節の言葉を入れるリズム遊び。まず、「いち、にぃ、トントントン」と言いながら四拍子のリズムを叩きます。次に「いち、にぃ」の部分にテーマの言葉を入れます。秋なら栗や落ち葉といった具合です。打楽器でも手拍子でもどちらでも楽しめます。
撮影/長尾浩之 取材・文/山田治奈