地域に出かけよう!つながろう!
自分たちが暮らす街の商店街で、お買い物をしていますか?お肉屋さんにお魚屋さん、八百屋さん……と夕飯の買い出しに1軒1軒、子どもを連れて買い物をするのは確かに大変かもしれません。でもそこには、子育て世代の私たちに必要な発見が、きっとあふれているはずです。
吉田いつしさん
エディトリアル・デザイナー。書籍の装幀や雑誌のデザインをしながら、雑誌『散歩の達人』(交通新聞社)の取材記事を担当したり、散歩のフリーペーパー『路地と道くさ』を発行している。
http://www.tostlab.jp/
取材協力: 寿屋豆腐店/東京都杉並区西荻北3-26-6 魚庄/東京都杉並区西荻北2-26-5 肉のニシジマ/東京都杉並区西荻北2-12-4 八百松/東京都杉並区西荻北3-1-6
スーパーでの買い物は、品揃えや利便性といった点で魅力です。一方で現在、全国の地域で「商店街の魅力」が見直されています。その魅力とは? 今回は、日頃商店街であまりお買い物をしていないというミク読者のみなさんを中心に、「商店街をめぐり隊」を結成。JR 中央線・西荻窪(東京)の街を探険してきました。さて、どんな「子ども達の発見」が待ち受けているかな? 出発前から、「どんなお買い物しよう?」「何があるかな?」と子どもたちのワクワクが伝わってきます。
本屋さんや飲食店を通り過ぎ、最初に立ち寄ったのは八百屋さん。野菜や果物だけでなく、自家製のぬか漬けやお惣菜に子どもたちの目が行きます。見たこともない糠ぬか。「糠ってなぁに?」そんな会話をしていたら、「おじさん、これください!」と一人がミニトマトを差し出します。すると、「私も買いたい」「僕も!」とみんなお買い物を始めました。「ほら、お釣りだよ。レシートもちゃんと受け取ってね」とおじさん。手から手へ、自分でお金を渡してお買い物をするのがとにかく楽しそう。
ぐるっと商店街を練り歩きながら、巨大なお肉のかたまりがおいてあるお肉屋さんと、店先でお魚をさばいている昔ながらのお魚屋さんへ。
「買い物してくれると、顔なじみになるでしょう。そうすると子どもたちだけでも立ち寄ってくれるようになってね、おじさんこんにちは! なんて挨拶するの。今日はこんなことがあったよ、っておしゃべりしていく子もいるし、しばらくあの子見ないなぁ、なんてこっちも気になってくるしね」。
パパ&ママのなかには、子育てをしてはじめて、地域の人とのつながりの大切さを認識した人もいるでしょう。
それはこんなあいさつの積み重ねが土台となっていくのかもしれません。商店街は、ただ必要な物を買う場所ではなく、触れ合いが生まれる場所でもあります。西荻窪の商店街の店頭には、椅子が置いてあるお店も多く見受けられました。
お豆腐屋さんは「何度か買い物に来てくれている家なら、この家は絹、木綿ってこっちが把握しているからね。子どもだけでお買い物に来ることもあるよ。お互い顔がわかってるっていうのは、安心できる
よね」と言います。
撮影/長尾浩之 取材・文/山田治奈