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過度な叱責はNG。「ほめてのばす」ことが大切 発達が気になる子を育てるとき

過度な叱責はNG。「ほめてのばす」ことが大切

発達が気になる子を育てるとき

子どもに障がいがある場合、その内容や程度はさまざまですが、親はどのような気持ちで子どもと向き合い、関わっていけばよいのでしょうか。精神科医の杉山登志郎先生に伺いました。

杉山登志郎先生
精神科医、医学博士。高機能自閉症やアスペルガー症候群の研究で名高く、子どもの虐待にも関心を持つ。著書は『発達障害のある子どもができることを伸ばす!』(日東書院本社)、『発達障害のいま』(講談社現代新書)ほか。

困った行動を繰り返す子の多くは「発達凸凹(でこぼこ)

生まれつき脳の機能に何らかの問題があることなどから、発達段階において運動、コミュニケーション、言葉などに偏りが見られる発達障がい。最近では、知的障がいのある自閉症など、その特性が強い発達障がいよりは、知的なハンディキャップがほとんどないか軽い、いわゆる「軽度発達障がい」の子が大多数です。
 
赤ちゃんの頃から運動機能の微妙な遅れ、言葉が遅い、じっとしていない、不器用、環境の変化に対応できない……など、大人から見ると困った行動を繰り返す子どもたちの多くは、これまでの固定的な「発達障がい」ではなく「軽度発達障がい」であり、できることとできないことの差が大きい=「発達凸凹(でこぼこ)」がある状態です。
 
子どもの脳には代償性があります。発達障がいや「発達凸凹」で脳の一部分に働きにくいところがあったとしても、神経のネットワークが構築される途上にあるため、親をはじめとする周囲がそれぞれの子どもの特性を考慮して適切に働きかけることにより、バイパスがつながり、できることをどんどん伸ばしていくことができます。発達障がいや「発達凸凹」は、その子にとってマイナスと捉える必要はありません。

過剰な叱責や体罰はN G。放置せず、声と手をかけて

子どもが発達障がい、もしくは「発達凸凹」の場合、親としていちばん気をつけたいのが、できないことを叱ること。発達障がい、「発達凸凹」の子どもは、その場の空気や相手の意図を読み取りにくいため、「どうしてできないの?」「そんなことをしたらだめでしょ!」などと言われても、なぜ叱られたのかがわからず、傷つき、自己肯定感を育むことができません。「できないから叩く」という体罰は、もってのほかです。
 
また、「うちの子は大丈夫」「様子をみていれば、そのうちできるようになるはず」など、根拠のない思い込みから、子どもへの対応を変えずに放置するのもNGです。放置し続けると、子どもは今の状況から一向に改善できないばかりか日々の生活から誤った学習を積み重ねてしまい、「確認せず、自分がいいと思った方法で行う」「わからないことは拒否すればいい」など、自分なりのゆがんだルールを作ってしまいがちです。
 
発達障がいも「発達凸凹」も、親や周りの人が適切に関わっていけば、成長にそって少しずつ目立たなくなっていくものです。感情をコ ントロールすることやコミュニケーションの基盤となる親子の愛着を築くことが何よりも大切な乳幼児期だからこそ、わが子のできることとできないことを理解して適切にサポートし、子どもの発達に合わせて徐々に子どもに任せていきましょう。(親から見た)困った行動は根気よく言い聞かせ、手をかけて、いいところを見つけて伸ばす、丁寧な関わりを心がけましょう。

できない時だけ叱る子育てのリスク

やみくもに叱らず、うまくいく方法を教えましょう。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/長島ともこ

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